オモシロ学生だらけじゃないか! 若者のクルマ離れなんて「ウソ」としか思えないモータースポーツイベントに行ってきた (2/2ページ)

関西だからか!?  学生のクセが強すぎる!

神戸大学:武居直信さん 3年生(トヨタ86)

 10年落ち前後のクルマを乗っている大学生は比較的お金持ちと言えよう。少なくとも筆者はそう思う。どう考えても当時の筆者では無理だったからだ。なので、この会場で86やBRZは、夜の六本木を走るフェラーリほどに輝いて見えるのだ。そんな輝くマシン、トヨタ86に乗るのが神戸大学の武居さんだ。

 この86、じつはただの白い86ではない。お気づきだろうか? 競技ベースである86レーシングなのだ。なので、86/BRZレースに即投入可能だったスペックを備えており、3連メーターやロールケージが最初から備えられている超スパルタン仕様。それでいて一般的なモデルより数十万安かったのが決め手だったようだ。

 ボディカラーはオフホワイトに全塗装されている。そのほか、エンブレムを自分で金色に塗装したり、かつて一世を風靡したTLアンテナなどを装備したり、若干VIP的な要素も織り交ぜているそう。医大生とのことで、将来はお医者さんになる可能性が高い。ゆくゆくは本当にフェラーリに乗っちゃうのでは!?

神戸大学:松尾玄人さん 3年生(スズキ・スイフトスポーツ)

 さて、大学生はもちろんイマドキの20代前半のクルマ好きを支えているクルマは何かご存じだろうか。そう、スズキのスイフトスポーツだ。現行型は価格を考えると素晴らしくいいクルマなのだが、先述のとおり大学生的に考えればスーパーカー。そうそう買えない(と思う)。しかし、HT81Sから始まった先代までのスイフトスポーツであればバイトレベルで買うことも可能。パーツも山ほどあるので困らない。クルマを勉強する登竜門的1台なのだ。

 そんなスイフトスポーツの初代モデルを愛車とする松尾さん。エンジンは唯一のNAで1.5リッターではあるが、3ドアのスパルタンなエクステリアは歴代モデルでもっともスポーティだと個人的に思う。

 そんな松尾さんのスイフトスポーツは、「いかにも大学生」といったパーツチョイスであった。目を惹くのがショルダーの立ったやる気満々なハイグリップタイヤ「ナンカン NS-2R」。安いのにクラストップレベルでグリップするので、何度もリピートするほどお気に入りなんだとか。

 また、リヤハッチに貼ってあるお守りや、無駄に長いアンテナもアピールポイントなんだそう。草レースでもなかなか速いということもあり、可能性の塊であるところがお気に入りと熱弁してくれた。ちなみにOBから10万円で買ったとのこと。そりゃ安い!

近畿大学:武田翔太さん 1年生(スバル・インプレッサWRX)

 ここからはこの日の会場で1番人数が多かったであろう近畿大学の学生たちの愛車を紹介する。

 トップバッターはまだ1年生ながら愛車としてスバル・インプレッサWRX(GDA)を所有する武田さんだ。彼はバイクも好きでいろいろ乗っているそうだが、両親の影響もあってクルマに囲まれた幼少期を過ごしていたという。そんな彼は、6代目のセリカを愛車にしたかったそうだが、両親と相談した結果、このインプレッサになったそうだ。

 社外のエアロやカーボン製のGTウイングを装備するといった比較的王道なカスタムでまとめてあり、ホイールもWRブルーと相性のいいゴールド系をチョイス。いざ乗ってみると丸っこい顔が気に入り、いまではかけがえのない愛車となっている。

 そんな武田さん、当日は応援として会場に駆けつけており、出走する選手への想いを聞いたところ「うちの大学では1位以外負けなんでぜひ勝って欲しいですね」と語ってくれた。実際、この日の近畿大学の予選結果は2位であったが、無事に決勝戦に進むことができたので、本番の結果が楽しみだ。

近畿大学:坂本剛一さん 4年生&田中愛美さん 1年生(スバル・レガシィB4)

 初めに断っておくが、このふたり、カップルとかではないそうで、会場まで連れてくる関係でこの組み合わせになったとのことだ。だが、非常にノリがよかったので取材に協力頂いた。

 さて、このBE5型のレガシィB4のオーナーは、男性である坂本さん。この日はタイミング悪く洗車ができていなかったとのことだが、年式を考えたら綺麗なボディが自慢とのこと。

 それと、時速1.2km程度でぶつけてしまったバンパーも思い出の品。ん〜。このノリ、まさに自動車部員!(筆者のまわりにも似たような人がかつていた)。

 そのほか、3本スポークのホイールもこのクルマが新車で販売されていた頃の製品で、当時モノであることが自慢。所有年数は4年ほどだそう。将来乗りたいクルマは日産シルビアやトヨタ・チェイサーといったいわゆるFRのドリフト向けのマシンとのことだ。

 で、一緒についてきたノリが良すぎ女子の田中さん。彼女、自動車部員とのことだが、まだ免許はまだないという。「なんで入ったの?」となるが、聞くところによると、高校時代の先輩との繋がりなどがあって入部に至ったそう。ただ、周囲の環境を見ていたら免許を取りたくなったそうで、近いうちに教習所に通って取得予定だ。

 乗りたいクルマはラパンSSのような可愛くて中身が過激なクルマがいいそう。それなりにカスタムもしてブイブイ言わせたいんだとか。将来KYOJOとかに出る日が来るかも!? 楽しみだ。

近畿大学:長尾敦忠さん ?年生(スバル・レガシィB4)

 やたらとスバル率が高い近畿大学だが、彼らは決してスバリストなわけではないそう。本当か? と疑いたくなるが、たまたま買ったという雰囲気なので信じよう。

 さて、坂本さんの隣にいたBL5型のレガシィB4に乗る長尾さんは、やはり他の人たち同様に小さい頃からクルマが好きだったという筋金入りのクルマオタク。お父さんがホンダ・インテグラタイプRの4ドア(DB8)に乗っていたという過去もあるそうで、家族もみんなクルマ好きなんだそう。

 そんな彼のレガシィは、仲間たちとつけた車高調キットやダークなボディとの相性がいい白いホイールなど、きっちりポイントを押さえたカスタムが光っていた。レガシィを買った理由は、「セダンに乗ってみたかった」という理由があるほか、この前にATのレガシィB4に乗っていたこともあり、このモデルに愛着があったそうだ。

 ちなみに将来は自動車業界で働いてみたいそう。なお、「何年生なの?」と聞いたところ「あ、それは言えません……(笑)」とのことだった。深く詮索しないが、頑張って卒業してくれヨ!

近畿大学:中川岳人さん 4年生(トヨタ86&トヨタ・サクシード)

 最後に紹介する中川さんは、ほかの近畿大学の生徒と違って2日目に取材をした。それはなぜか? 理由は初日の取材時に「明日面白い奴がきます!」と、ほかの生徒からの推薦があったからだ。

 そんな彼の愛車はトヨタ86。選んだ理由は「クルマ屋に見に行ったらひと目惚れして勢いで買いました!」とのこと。この思い切りの良さ、これが若さですな! 素晴らしい! ただ、子どもの頃からクルマ好きではあったので、この86でなくとも何かしらは買う予定だったようだ。

 カスタムのこだわりは、灯火類をクリア化したことによるスタイリッシュな佇まい。白いボディのせいもあってか非常に綺麗にまとまっていたのが印象的であった。また、5本スポークのホイールもこだわりなようで、いろいろ吟味して選んだそう。今年で所有して1年半ほどなんだそう。

 そんな中川くんはもう1台クルマを持ち込んでいた。それがトヨタ・のサクシードだ。人は一人なのに、なぜかクルマが2台ある謎の光景であったが、聞くとサクシードは友人を使って持ってこさせたそう。と、いうのもこのサクシード、土曜日の予選日に埼玉から個人売買で買った個体を引っ張ってきたばかりだという。なので、ほぼ初お披露目状態。

 とはいえこのサクシード、随分といじられていて学生たちのクルマが並ぶ駐車場でもひときわ存在感を放っていた。買った理由は就職先が土木系ということもあり、通勤で使いたいという理由があるからだという。「クルマはクルマ、仕事は仕事で分けて楽しみたいですね」と今後のビジョンも語ってくれた。

 と、ここまでフォーミュラジムカーナの会場にいた学生たちの愛車を紹介させていただいたが、「若者のクルマ離れ」と散々言い古されたセリフがあるが、これほど熱意のある20代が、一部とはいえこれだけいるのだから、決して自動車業界の未来もそう暗くないのではないかと思った。

 実際、筆者の25年以上前に作られた愛車にも多くの学生が寄ってきて、いろいろ語り合ったり質問をしあったり、会場にいた各自動車メーカーやサプライヤーの方たちとも積極的に会話をしていたのも印象的であった。

 このフォーミュラジムカーナのさらなる発展と、ここからひとりでも多くのクルマ好きが増えてくれることを祈りたい。


WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

編集者

愛車
ホンダ・シビックタイプR(EK9)/スズキ・ジムニー(JA11)
趣味
写真/ドライブ/サーキット走行/クルマ弄り/スノーボード/ダーツ/自転車/その他多数
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