ロールス・ロイスの伝統「シルバーシリーズ」! 100年以上前の「銀ピカマシン」が始まりだった (2/2ページ)

現行ラインアップには「シルバー」を冠するモデルはない

 1940年代になると、「シルバーレイス」と「シルバードーン」の両モデルも誕生する。前者は1947年にデビュー、一方のシルバードーンは1949年のデビューで、注目すべきはこれらもレイス(生霊)、ドーン(夜明けから明け方にかけて亡霊の不安を払いのける)といった、いずれも幽霊に由来する言葉がそれに続くこと。

 ちなみにシルバードーンは、1955年には後継車の「シルバークラウド」、また1959年には「シルバークラウドII」、そして1962年には「シルバークラウドIII」へと進化を続け、1965年「シルバーシャドウ」へとフルモデルチェンジされる。

 また、このシルバーシャドウは1977年にフルモデルチェンジを受け、「シルバーシャドウII」に進化。最終的には1980年まで生産が継続される。

 同じ1977年には、かつて使用された「シルバーレイス」の名が、「シルバーレイスII」となって、「シルバーシャドウEWB」の後継車のネーミングとして復活している。

 1980年から1997年まで生産されていた「シルバースピリット」や、そのEWB版である「シルバースパー」などは聞き慣れたロールス・ロイス車の車名だろう。シルバースピリットは1997年まで、一方のシルバースパーは1999年まで生産が継続され、シルバースピリットは1998年に「シルバーセラフ」にその市場を譲る。

 先日発表されたロールス・ロイス初のBEVであり、ファントム・クーペのスピリットを継承した、「スペクター」も、じつはシルバーの称号と無関係なわけではない。じつは同社は1910年に、「シルバースペクター」というモデルを製作しているのだ。スペクターとは、これも妖怪や幽霊を表す言葉。

 ロールス・ロイスの車名は、意外に規則的な成り立ちでできていた。現在では、残念ながら存在しない「シルバー」の名を冠するモデル。いつの日か、ぜひその復活を期待したいところだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
好きな有名人
蛯原友里

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