なんと年間30件も火災が発生! ナメてかかると大惨事を引き起こす「セルフGS」の禁止事項

この記事をまとめると

■ガソリンは法律で危険物として扱われている

■給油所での火災事故は毎年30件以上起きている

■静電気で火災が起こることもあるのでスマートフォンなどは給油中は触らないようにしよう

給油中は些細なことで大事故になる認識を持とう

 ガソリンは消防法第2条第7項に定義される危険物であり、危険等級II第四類危険物の第1石油類に分類されている。その特徴は揮発性が高いところにあり、気化したガソリンの引火点は−40℃以下とかなり低い。消防庁によると、給油取扱所での火災事故件数は、平均して毎年約36件発生しているので、とくに火災の発生には気を配っている。

 セルフスタンドに掲げられている禁止事項も、ほとんどは火災への対策と言っていい。セルフスタンドの主な禁止事項は次のとおり。

1:セルフステーション内は禁煙・火気厳禁
2:給油中は必ずエンジン停止
3:給油中のスマホ・携帯電話の使用禁止
4:満タン自動停止後の追加給油の禁止
5:少量給油の禁止
6:利用者自身による容器へのガソリン注入は禁止
(2020年2月よりガソリンの適正な使用を徹底するため、事業者はガソリンを携行缶で購入者に対して消防法で本人確認=運転免許証の提示等と、使用目的の確認を行うとともに販売記録を作成することが義務付けられている)

 1の禁煙と火気厳禁は、ガソリンの揮発性の高さを考えれば当然のこと。燃料キャップを開けたときに、「プシュー」という音がするのは、タンク内の気化したガソリンが外に出てきたときの音なので、そのそばで火を扱えばあっという間に引火する。

 2のエンジン停止は、エンジン自体の熱の影響、マフラーなどの熱の影響を考えてのことだが、もうひとつ、給油ノズルが刺さったままクルマが発進してしまうのを防ぐ目的もある。とくにAT車でDレンジに入れたままサイドブレーキで停車させていたりすると何かの拍子に誤発進する可能性がある。じつは給油ノズルを給油口に差し込んだままクルマが動いてしまった例は、都内だけでも年間約60件もあるらしい。これが原因で火災になった例もあるので気をつけよう。

 3のスマホや携帯電話の禁止は、携帯電話の発する電磁波や静電気によって引火の恐れがあるため。消防庁の調べによると、給油取扱所で発生した火災のうち、危険物に関連する火災事故に係る着火原因の35%が静電気火花とのこと。静電気のリスクは侮れないので、給油中はスマホの操作はしないこと。そして、給油前に必ず静電気除去パッドに触れること。もうひとつ、給油中にスマホをイジることで、注意力が散漫になり、吹きこぼし等につながる問題もある。

 4と5も吹きこぼし防止のため。ガソリンが吹きこぼれてボディや床に広がると、より気化しやすくなって火災のリスクが増えてしまうのだ。

 このように、セルフスタンドでの禁止事項は火災防止のために制定されたもの。軽々しく考えないで、大きな事故を巻き起こさないためにも、利用者はきちんとルールを遵守することが肝心だ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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