この記事をまとめると
■マツダ最初のロータリーエンジン車がコスモスポーツ
■フロントミッドシップにエンジンを積んだリヤ駆動車
■軽量コンパクトなエンジンで車重は1トンを切る
2ローターのエンジンを積んだスポーツクーペ
ヴァンケル型ロータリーエンジンを世界ではじめて実用化したのは、ドイツのNSUだ。1963年に国際自動車ショーで、ヴァンケルスポーツとして登場した。続いて67年にRO80という車種が加わった。このRO80は、翌1968年のカー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。しかし、NSUでのロータリーエンジンは77年までに終了し、NSUという自動車メーカーもフォルクスワーゲンと合併し、アウディ・NSU・アウト・ウニオンとなって延命することになった。
NSUのあとを継いでヴァンケル型ロータリーエンジンに社運を賭けたのがマツダ(当時は東洋工業)である。1961年にNSUと提携し、ロータリーエンジンの開発にとりかかった。ところがそこから最初のロータリーエンジン車であるコスモスポーツが誕生するまで、6年の開発期間を要した。最大の難関は、チャターマークと呼ばれた波状の摩耗である。
ヴァンケル型ロータリーエンジンは、繭型をしたハウジング(外側のケース)の内側を、三角おむすび型をしたローターが偏心しながら回転する。したがって、回転軸が移動することによりハウジングとローターの接点で回転中に力の強弱が生じ、それによって波状の摩耗が進行するのである。結局、高強度カーボンにアルミをしみこませたシールを接点に使うことで、燃焼室の密閉性を確保しながら、ハウジングの摩耗を抑える手法を編み出した。
ヴァンケル型ロータリーエンジンの特徴は、何よりまずエンジン外観が小型であること。次に、2ストロークエンジンのようにクランクシャフトの回転に対し毎回燃焼を行えるので、出力が高いことだ。その特徴を最大に活かす車種が、1967年のコスモスポーツで体現された。
フロントミッドシップにエンジンを車載した高性能エンジンを活かす車種である。駆動方式は、後輪駆動(RWD)だ。