わずか110馬力ながら最高速は185km/hに達する!
1ローターの排気量がわずか491cc(0.491リッター)の2ローター形式で、最高出力は110馬力を得ていた。車両重量は1トンを切る940kgであり、パワー・ウェイト・レシオは8.5である。参考までに、現行ロードスターでもっとも軽量なSは、パワー・ウェイト・レシオが7.5である。コスモスポーツを運転した感覚は、ライトウェイトスポーツの手応えで、小柄なロータリーエンジンをフロントミッドシップに車載した運動特性に優れるスポーツカーであった。
コスモスポーツの最高速度は時速185km、0~400mの加速は16.3秒である。
私自身、1967年といえばまだ中学1年生であり、コスモスポーツは旧車となってから運転する機会を得た。ロータリーエンジンの滑らかな加速と併せて印象深いのは、ハンドル操作に対し軽快に進路を定める身軽さであった。
当時の販売台数は、30台/月であったとされる。日産サニーやトヨタ・カローラが発売されたのが66年であり、ここからようやく自家用車が庶民の手にも届く時代がやって来る。その時代に、月30台も販売されたことは、コスモスポーツがいかに世界的にも注目されるべき日本のスポーツカーであったかを明らかにする一例ではないか。そして、ニュルブルクリンクでの耐久レースなど、欧州で上位の活躍をして高性能ぶりを披露した。
ヴァンケル型ロータリーエンジンの特徴を活かしたコスモスポーツの考え方は、のちにサバンナRX‐7へ伝承されることになる。