「二宮金次郎」なみに子どもに伝えたい! 学校の校庭に「銅像」を建てていいほど偉大なクルマを考えてみた (2/2ページ)

日本車に新たなる価値を付加したトヨタ・プリウス

 しかし、筆者が個人的に、日本の自動車産業が新しい価値を生み出したと思うのは、1997年、トヨタが量産ハイブリッドカー「プリウス」を誕生させたときだと考えている。

 エンジンを積んでいるハイブリッドカーは電動化というトレンドの種となったことは間違いない。なにより、それまでの国産車は基本的には自動車メーカーの先輩である海外ブランドの生み出した価値観の延長線にあったが、プリウスはまったく新しい世界観を誕生させた。

 小学生にイノベーションの重要性を伝えるのであれば、初代プリウスほど適したモデルはない。正直言って、プリウスの銅像に見守られて小学生が通学する日が来るとは思わないが、プリウスを生み出したことは産業史の重要なトピックとして教えるべきだと思う。

 自動車産業というのは地域に根付いている部分も大きく、場所よってはトヨタのクルマを飾りたくないという思いもあるだろう。そんなときには、各メーカーが日本を元気にしたクルマを銅像にして讃えることもアリではないだろうか。

 そこで注目したいのはモータースポーツで活躍したモデルとなる。不思議なもので、賛否あるだろうが、スポーツで国の代表が活躍することは国威発揚につながるのは事実だ。その点でいえば、1965年10月24日にメキシコGPでF1初優勝を遂げたHonda RA272は銅像として讃えるのに最適なモデルといえそうだ。

 1991年のル・マン24時間耐久レースで日本車として初の総合優勝を成したマツダ787Bも銅像化するにふさわしいだけの価値があるといえるかもしれない。

 いずれにしても、自動車業界の大変革期といわれるいまだからこそ日本の自動車産業を子どものうちからリスペクトするようなきっかけになる何かが生まれることを願うばかりだ。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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