この記事をまとめると
■メルセデス・ベンツがCLEクーペを発表
■CクラスクーペとEクラスクーペを統合したような存在
■穏やかな走りが似合う貴重なクーペ
サイズ的にはEクラスクーペが近い
最近は世界的にクーペの売れ行きが下がっている。マツダロードスターは、1990年には海外仕様を含めた生産台数が約9万6000台に達したが、近年は3万台を下まわる。
フォードマスタング、シボレーカマロ、日産フェアレディZなどは、いずれも外観を初代モデルのイメージに仕上げている。初代に憧れた中高年齢層を視野に入れているためで、かつてのようにスポーツカーやスポーティクーペが若年層を含めて活発に売れる市場ではなくなった。
2000年以前にスポーツカーが人気を高めた理由は、「カッコ良くて速い」というクルマの魅力をわかりやすく表現したからだ。それが近年では、クルマが日常生活のツールになってスポーツカーの人気も下がったが、プレミアムブランドでは話が変わる。日常生活のツールではないから、今でもカッコ良さや運転の楽しさが求められ、スポーツカーはその象徴だ。最近はSUVに浸食されつつあるものの、プレミアムブランドでは、スマートで低重心のスポーツカーが輝きを保っている。欧州のメルセデスベンツ、BMW、アウディ、日本車のレクサスなどは、いずれも複数のスポーツカーを用意する。
直近では2023年7月に、メルセデスベンツCLEクーペが発表された。従来のCクラスクーペとEクラスクーペを統合した車種と考えれば良い。
ちなみに従来のCクラスクーペは、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が2840mmだった。Eクラスクーペは2875mmだったから、その差は35mmに留まる。このようにC/Eクーペには、以前からC/EセダンやC/Eワゴンに比べて曖昧なところがあり、1車種にしたわけだ。CLEクーペのホイールベースは2865mmだから、従来のC/Eクーペの中間的な数値になる。
CLEクーペのボディサイズは、全長が4850mm、全幅は1860mm、全高は1428mmとされる。この数値は、現行Cクラスクーペよりも、現行Eクラスクーペの4845mm×1860mm×1430mmをほぼ踏襲している。ボディサイズから見ると、CLEクーペはEクラスクーペの後継という印象が強い。