社員に「純正パーツ」のドレスアップを禁止するディーラも
そのため、違法改造車の持ち込みはもってのほかだが、合法的な改造であっても原則は断ることも多いと聞く。極端な例ではなんらかの社外品がついているだけとか、タイヤのインチアップを行っているだけでも断られるケースもあるようだ。
これは所管する運輸支局が新車ディーラーに対して、違法改造車の整備などに厳しい目を向けていることが大きい。過去には事前通告なしに店舗にやってきて、わずかにフェンダーからタイヤがはみ出しているのを現認して摘発されたこともあると聞いている。そのため、いまではディーラーによっては、社員が乗るクルマについて、純正パーツでのドレスアップすら紛らわしいとして禁止するところもあると聞いたことがある。
少し前には“スピード車検(短時間で作業が終了する)”についての不正発覚がメディアを賑わしたこともあるし、よりあらゆる面でナーバスな対応が続いているようでもある。
たとえばディーラーに車検に出すからと言って、内外装をピカピカにする必要はない。悪意を持ってボディを汚すようなことでもなければ、汚れているからと言って文句は出ないだろう。洗車機や高速ジェットノズルホースなどをたいてい持っているので、気になるのなら作業前に簡単に洗い流したりもするだろう。
話を聞くとエンジンに蜘蛛の巣が張っているという、冗談のような状態のクルマもいまどきは少なくないようである。気にするのは、やはり合法であっても改造の有無といったことになるだろう。
少子高齢化に歯止めがきかないなか、新車販売の低迷というだけでなく、各店舗で販売しアフターサービスを請け負っている既納ユーザーのなかで、高齢となり運転免許の自主返納を行うなどして、終車(クルマの所有自体をやめる)してしまう人が目立ってくるようになり、定期点検や車検の入庫台数減少という問題も深刻化してきている。そのため、そもそもは点検入庫の勧誘では表立って積極的ではなかった、フリー(いままで関係のなかった)でしかも他銘柄(他メーカー)車を積極的に入庫してもらうべく、店頭にのぼり旗(他メーカー車も大歓迎などと)を掲げるディーラーも出てきている。
“車検入庫大歓迎”なのだが、それでも手放しで受け入れるということでもないのが、いまのディーラー車検の現状なのである。