この記事をまとめると
■トンネルの入り口付近に設置された信号機はトンネル内の異常を知らせる役割を持つ
■日本坂トンネル事故がトンネルの手前にある信号設置のきっかけとなった
■赤信号では火災などが発生している意味を持つので進入禁止だ
トンネル手前の信号機ってなにか使い道あるの?
主に高速道路にある長いトンネルの入り口付近に大きな信号機が設置されているのは認識しているだろうか。
高速道路など、自動車専用道路は基本的に交差点もなく、信号によって停止する必要もないと思っていると、トンネル用信号機には注目していないかもしれないが、さにあらず。信号であるからには交通安全に対して非常に重要なデバイスとなっている。自己防衛のためには見落とすなんてことはあり得ないほど重要なものだ。
基本的に青・黄・赤の3色表示が用意されているトンネル用信号機。その意味は、青は進めであり、黄色は注意で、赤は止まれという意味を示すという点においては通常の信号機と共通といえる。
ただし、何もトラブルやアクシデントがなければ青点灯になっていることが多く、黄色や赤が点灯している状態を見たことがないというドライバーも多いことだろう。
それもそのはずで、トンネル用信号機が赤点灯になるということは、トンネル内で大きな事故や火災などが起きていて通行止めになっていることを意味している。トンネル用信号機が赤点灯している状態に出会うことはほとんどないというのが現実だ。
なぜ、こうした信号機が必要になったのか。それは1979年に起きた東名高速・日本坂トンネル火災事故までさかのぼる。この事故は、トンネル内での追突事故により車両火災が発生したことに起因する。火災の主要因となった追突事故そのものは6台の車両が関わるものだったが、それによる車両火災に気付かずにトンネル内に進入したクルマが多数あり、結果として173台もの車両が火災によって消失するという大事故になってしまったのだ。
日本坂トンネル火災事故の反省から、長いトンネルや交通量の多いトンネルの手前には信号機が設置され、火災などが起きたときにはトンネル内に進入しないようにする対策が取られることになった。