この記事をまとめると
■かつて駐車違反の取り締まりにはチョークと鍵付きの標章が使用されていた
■しかし2006年の道交法改正でこれらによる取り締まりは消滅した
■駐車監視員によって短時間の駐車も取り締まることで道路上の安全を守るというのが警察の方針
チョークと黄色い標章にビクビクしていた20年前
いまから20年ぐらい前までは、駐車禁止エリアにクルマを止めていると、ミニパトに乗った婦人警官がやってきてタイヤと地面にチョーク(マーキングチョーク)で線を引き、書き込んだ時間も一緒に記して、一定の時間が経ってもなお違法駐車が続いていれば、ガラスに黄色い違反ステッカーを貼られたり、ドアミラーに鍵付きの輪っか(標章)が取り付けられて、違反者として処理されていた。
ところがいまではそうした光景を目にすることはない。いつから、どのタイミングでこの制度は変わってしまったのだろう?
マーキングチョークによる駐車禁止の取り締まりが姿を消していったのは、2006年6月に改正された道路交通法で、「放置駐車違反」の制度が開始されたため。
新制度では、都道府県の公安委員会の講習を受けて、試験に合格して資格を取った駐車監視員=民間に委託され、放置車両であることが確認できた場合は、駐車時間の長短にかかわらず取り締まりを行うことが可能になったため。
つまり、それまであったわずかな猶予時間は不要となってしまったので、マーキングチョークの出番はなくなってしまったのだ。
上記のように、現在では駐車時間の長短は無関係なので、駐車監視員が違法駐車の事実を確認し、その状況をデジタルカメラで撮影するだけで、違法性の証拠は十分ということになっている……。
たとえば福岡県警のホームページには次のように書かれている。
・短時間駐車違反も取締りの対象
「本来、放置駐車は短時間でも違反ですが、「短時間なら違反にならない」「短時間なら検挙されない」といった誤った考えの運転者による短時間駐車が横行し、交通の支障を生じさせていることから全国一律に、時間の長短にかかわらず、取締りの対象とするものです」
・チョークによるタイヤチェックを行いません。
・警察官や駐車監視員が放置駐車違反であることを確認すれば、直ちに写真撮影を行い、「確認標章」を取り付ける作業を開始します。
要するに、駐車禁止場所等に車両を停め、運転者が車両を離れて直ちに運転することができない状態であれば、時間の長短を問わず、放置駐車違反になるということ。そしてその事実は、デジカメの写真があれば立証できるというのが、いまのルールだ。
駐車禁止の場所にクルマを止めるのは、確かに悪いことかもしれないが、それにしても駐車禁止の取り締まり方法は昔もいまも不満がある。もう少し弾力的に運用してもらいたいところだが、ルールはルールとして理解し、つまらない「放置違反金」もしくは「反則金」を支払うことにならないように気をつけよう。