この記事をまとめると
■モータースポーツの世界では「何に乗っても速い」という天才がたまにいる
■「何に乗っても速い」人の逆で、「何に乗せても遅い」というセンスがない人も存在する
■センスがないからダメなのではなく、日々の運転のなかでトレーニングすることが大切だ
何に乗っても速い天才的なドライバーとそうでない人の違い
どんなマシンに乗っても速い人はセンス抜群と評価され、モータースポーツの世界ではいち早くステップアップできる。故アイルトン・セナしかり、近年では角田裕毅選手もドライビングセンスが優れていると評され、わずか3年で世界最高峰のF1にまで登り詰めたひとりだ。
一方で、どんな速いマシンに乗せても速く走れない人もいる。そんな人の多くはマシンのせいにしたり、タイヤのせいにしたりと言い訳が多い。では、「自分にはセンスがない」と自覚しているドライバーは速く走れるようになるのだろうか。
こうした問題を解決するには、ドライビングやマシンに対する知識や経験が重要だ。
せっかくいいマシンをドライブできる機会を与えられても「自分にはセンスがないから」と断ってしまったら、あまりにももったいない。センスがあろうとなかろうと、いいマシン、速いマシンに乗れる機会など滅多に訪れないのだから。
筆者が主催しているドライビング理論アカデミー「中谷塾」では、さまざまな知識と経験則を教えている。走る機会があったときに、そのクルマがどう動き、どう操ればいいのかを理論的に知ることができるようになることを目的としている。知識を備えたうえでドライビングにチャレンジすれば、自分にできること、できないことが明確になり、知らないうちに危険な領域に踏み込むこと、誤った判断による不適切な操作などを回避できるようになる。
中谷塾では、「ドライビングセンスのあるなしはレーシングカートに乗せて5周もしてもらえば判別できる」と教えている。じつは最近その最たる例が身近であった。自動車好きを標榜し、スポーツカーを所有してサーキット走行を楽しんでいるというA君。一方でB子さんはスポーツ走行とは縁のない環境で育ち、運転免許はあるがサーキットを走ったこともなければ知識もなかった。それがグランツーリスモにはまりスポーツ走行に興味を持つようになった。まだアウト・イン・アウトもスローイン・ファストアウトも知らない。
このふたりをレーシングカートに乗せてみたのだ。