まだまだ不安定な状況は続く
「たとえば、新車の納車を待っている人のなかで残価設定ローンを組んでいて残債が残っている下取り車がある人がいたとします。2年後に採算分岐点、つまり下取り査定額で残債を相殺できるので、そのタイミングで乗り換えを検討。ちょうど気になるモデルが納車まで2年かかるとのことなので、注文を入れる一方で、ローンの支払いも進めて待っていたとします。しかし、生産状況も改善したり、キャンセル車両が希望車両と合致するなどして発注後半年ほどで納車されることになったとします。すると、下取り車の残債処理が進まないこともあり、購入資金が足りずにキャンセルとなることも目立ってきているそうです」(事情通)
また、トヨタでは発注車両に関してカウントダウン制をとっているとのこと。発注時に配車状況を確認すると、あと●台発注可能といった表示がされるそうで、この台数枠が埋まると、公に受注停止としていない車種であっても一時的に受注停止になるそうだ。ただし、生産現場の都合などで設定されたカウントダウン発注枠が埋まる前に、諸般の事情で受注停止となることもあったそうだ。
さまざまな事情で生産枠に空きができた段階で、今回新規受注を再開しているのではないかという話もあり、それほど時間がかからずに再び新規受注停止になるのではないかと見る向きもある。
新型アルファード&ヴェルファイアでは、「納車が早まっても構いません」といった、いままでとは逆の内容となる誓約書へのサインを求めるディーラーもあるそうだ。
つまり、最近の納期遅延の改善傾向が問題をさらに複雑なものとしているようにも見えるのである。ダイハツの認証不正問題も影響しているようだが、OEM(相手先ブランド供給)車となる、ライズ(HEV:ハイブリッド車は新規受注停止中)やルーミーの納期が一気に延長されたりもしており、今回はトヨタを例に話を進めたが、トヨタ以外でもまだまだ不安定な生産状況となっているといっていいだろう。