日本を参考に中国が先回り! BEV戦略における中国の圧倒的なスピード感がヤバい (2/2ページ)

日本の技術は各国に“ヒント”を与えている!?

 とはいっても、欧米でも一般量販車レベル、つまり大衆車レベルでのNEVの普及は、はかばかしいとは言えない。その分野では、中国国内での普及はめざましく、中国メーカーが世界市場で存在感を強めている。フットワークの軽い中国メーカーはスペックを抑え気味にして、買い得感を高めた「ローコストBEV」のラインアップに積極的となっている。この分野は日本メーカーに残された数少ない逆転攻勢を仕かけられたカテゴリーだったのだが、先手を打たれた印象が強い(その前に騒がれていた「45万円EV」などと言われた「マイクロEV」よりは使える)。

 筆者は中国メーカーの動きには、日本国内における日産サクラの大ヒットも大きく影響を与えたものと考えている。航続距離などに制約があっても、マイクロEVまでスペックダウンさせなくとも、買い求めやすければそこに大きなマーケットがあると中国メーカーは確信したはずであり、それにより加速がついたものと考えている。

 BEV以外でも似たようなことはいくつかある。中国ではいまでもセダンだけでなくSUVやミニバン、ハッチバックなど広いボディタイプでホイールベースを延長した「L」と名前につくモデルの人気が高い。火付け役はアウディなのだが、そのアウディがヒントを得たのは、日本では初代となるレクサスLSの460ベースのロングホイールベースモデルとなる「460L」だったとはよく聞く話。しかし、当のトヨタほか日本メーカーは「Lモデル」のラインアップには興味を示すことなく、欧米や中国メーカーの間で中国国内にて大ブレイクしてからしばらく後、日本メーカー車でも「Lモデル」が目立つようになってきた。

 いまでは世界的には当たり前のように採用されている、液晶画面にデジタル表示する計器盤も、13代目トヨタ・クラウンで全面TFT液晶メーターが世界初採用されているが、いまだに日本メーカー車ではアナログ式メーターが幅を利かせている。

 日本メーカーが優秀な自動車メーカーであることには変わりはないが、先走りすぎていることもあるのかもしれないが、自分たちが知らないうちに諸外国のライバルメーカーにヒットモデルや効果的な先進装備のヒントを与えてしまっているケースは意外に多いのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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