そもそもランボルギーニはなんでエンブレムも車名も「牛だらけ」? スタートは驚くほど単純な理由だった (2/2ページ)

「悪魔」や「コウモリ」も伝説の闘牛から名付けられていた

 1990年代をひたすらに生きた「ディアブロ」も、そもそもは悪魔の意を持つ車名だが、じつはこれも歴史に残る闘牛の名前。19世紀にスペインのベラグア公爵によって育てられ、1869年7月11日、これも著名な闘牛士だったエルチェロとの死闘をマドリッドで演じた。

 ランボルギーニの経営体制がアウディ傘下に入り、最初のニューモデルとなった「ムルシエラゴ」だが、車名に闘牛の名を使うという伝統だけは変わらなかった。

 ムルシエラゴはそもそもスペイン語でコウモリを意味する言葉だが、こちらは1879年のコルドバでの戦いを生き延び、その後に種牡牛となった闘牛の名。

 その後継車である「アヴェンタドール」は、1990年代にサラゴサ闘牛場で活躍した、こちらも有名な闘牛の名である。

 V型12気筒エンジンを搭載しない、いわゆるスモール・ランボにも、闘牛に関連する車名は多くある。

 そのファーストモデルである「ウラッコ」は、やはりミウラ牧場の闘牛から選ばれた車名。

 続く「シルエット」は、当時のレースカー、スーパーシルエットのような外観を持つことからこう名付けられたが、そのさらなる進化版「ジャルパ」は闘牛のブリーダー、ジャルパ・カンタギアの名から与えられた車名である。

 それではエンジンがそれまでのV型8気筒からV型10気筒に変わった、いわゆる現代版のスモール・ランボはどうか。

 まず「ガヤルド」は18世紀のスペインの闘牛ブリーダー、フランシスコ・ガヤルドから。

 続く「ウラカン」は、1879年にサラゴサ闘牛場で観客を興奮の渦に巻き込んだという伝説の闘牛である。

 ときに限定車にも闘牛にちなむ車名を使うランボルギーニ

 2013年に発表された「ヴェネーノ」は、3台のクーペと6台のロードスターが生産されたが、その名前は直訳すれば「毒」。しかしながら、それは1914年、アンダルシアのサンルーカル・デ・パラメーター闘牛場で、闘牛士のホセ・サンチェス・ロドリゲスを突き、死に追いやった闘牛の名だ。

 現行モデルの「レヴエルト」や「ウルス」も、もちろんその名は闘牛にちなむ。

 その伝統へのこだわりは、ランボルギーニの強い意志の表れでもあるのだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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