しょせんニセモノじゃん……とか言うけど気持ちよければよし! とても「疑似」とは思えない「快感エキゾーストサウンド」をもつクルマ4選 (1/2ページ)

この記事をまとめると

■クルマの楽しみのひとつでもあるエンジン音

■車内に魅力的な擬似エンジン音を奏でるクルマをいくつか挙げてみた

■なかにはヴァイオリンの名器と共通点のある音色を奏でるクルマも存在

スピーカーから気持ちのいいエキゾーストノートを流すクルマがある

 フォオオオンという雄叫びのような音や、ボボボボという重低音など、クルマ好き、走り好きが酔いしれることのできる要素のひとつが、テンションを爆上げする官能的なエンジン音。そんなに速度は出ていなくても、その音が聴こえてくるだけで満足できる、レーシングドライバーになった気分が味わえるなど、いろいろな効果をもたらしてくれるものですね。とくに、高回転まで回すことができるNAエンジンの音が好きだという人は多いのではないでしょうか。

 ところが、だんだんと環境問題が無視できない状況となり、電動化やターボ化が進むなど、昔のような官能的な音が出しにくくなってしまったり、社会的に「爆音=暴走族」のようなイメージが定着するなど、いくら本人がいい音だと思っていても、周囲には騒音として不快に感じる人も多いこのご時世。なかなか外に向けて音を出しにくくなっているのが現状です。

 でも、走りにこだわりを持つ自動車メーカーやスポーツカーの開発においては、エンジン音も大切な要素のひとつとして、諦めたくないというのが正直なところ。そこで登場したのが、さまざまな工夫で擬似的な音を車内に届け、外にはあまり音が出ないようにするという方法です。「そんなニセモノの音なんて」と毛嫌いする人もいますが、実際に体験してみるとなかなかいいと、気に入る人も増えてきています。今回はそんな、擬似サウンド機能を採用しているクルマをピックアップしてみます。

 1台目は、あまりの人気に受注停止となってしまった、新型のホンダ・シビックタイプ R。従来はNAエンジンを搭載してきたタイプRだったのですが、2015年に限定で登場したモデルから、NAエンジンでは達成できない環境性能と、さらなる高出力化を両立するために、ターボエンジン搭載に踏み切りました。

 それでも、NAエンジンのように伸びやかで官能的な音が必要だと考えた開発チームは、「アクティブサウンドコントロール(ASC)」を採用。これは、排気システムを改良してストレート構造とし、エンジン回転が上昇する際の中周波音を強くすることと、3本ある排気口のうち中央に「アクティブエキゾーストバルブ」を設置することで、回転数に応じて排気流量を3段階で切り替え、外部への排気音を調整したり、車内のスピーカーからエンジン擬似音を送り出すことで、アクセルの踏み込みとエンジン回転にピタリと合う、官能的な音を堪能させてくれるというもの。まるでドライバーを包み込むように心地よい音色に、テンション上がること間違いナシです。

 2台目は、2.4リッターエンジンを搭載して先代からさらなるパワーアップと速さを手に入れたGR86。先代には「サウンドクリエーター」といって、吸気音を拾って車内に引き入れるというシステムを採用していましたが、GR86ではそれが新たに「アクティブサウンドコントロール」となり、エンジン回転数やアクセル開度に応じた電子音をスピーカーから車内に響かせる機能が採用されています。

 そのサウンドはとてもダイナミックで、まったく不自然さがないので聴いているうちにどんどんテンションがアップしてくるほど。低速時にはやや雑音が混じる場合もありますが、一般道をゆるゆると流しているようなときでも、普通に走るよりも満足度が高いように感じます。なお、このアクティブサウンドコントロールの設定は、販売店でオフにしてもらうことも可能です。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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