この記事をまとめると
■運送業界では「2024年問題」と並んで「430休憩」が話題となっている
■430休憩とは4時間の運転をしたら30分の休憩が必要と定めたもの
■運送業界の労働環境の改善を目指したものであるが逆に運送業界の首を絞めることにもなりうる
人手不足の運送業界で本当にきちんと休憩が取れるのかに疑問
いま、運送業界で話題になっているのが「2024年問題」で、これは残業時間などが中心。じつはもうひとつ関係する問題があって、それが「430休憩」だ。「430」の読み方は「ヨンサンマル」で、なにを表しているかと言うと、4時間以上の連続運転をする場合は30分の休憩が必要というもの。これは30分連続でなくても、1回あたり10分以上であれば分割して取ることも可能となっている。
430休憩自体は平成元年にすでに始まっているのだが、問題は荷下ろしについては運転はしていないので「休憩等」としてこれに含めていること。それが2024年4月1日からは「休憩」に変更されるのが大きなポイントに。「等」が取れることで、純粋な休憩を取る必要が出てくることになる。
この430休憩に違反しても罰則はなく、渋滞などで取れない可能性もある。また、走る場所によってはうまく規定通りに休憩できるとは限らないので、取れるようになったら速やかに取る必要がある。
監査の際にタコグラフを見ればどのような状況なのかは一目瞭然なので、意図的に休憩させていない場合は会社に対して改善指導だけでなく、行政処分が下される可能性もある。
そもそも4時間で30分の休憩というのは一般企業にしてみると当たり前の割合だけに、ドライバーのきつい労働環境の改善に役立てばいいとは思う。
ただし、現在の運送業界にこれを受け入れる余裕があるかというとかなりの疑問だ。納品時間厳守が鉄則だけに、荷主の理解も必要だし、運行に余裕をもたせると人手も必要になってくるかもしれない。我々にとってはまわりまわって製品価格にも影響が出てくることも考えられるだけに、社会全体の理解も必要になるだろう。