すっかり「近代化」が進んだラングラーのPHEVに試乗! それでも残る「アメ車」感とは (2/2ページ)

静粛性もかなり向上していた

 ラングラーは1987年に初代がデビューしている。2代目(TJ)では日本仕様として右ハンドルが用意されたこともあり、俄然注目されるようになった。ただし、ボディサイズはそれほど大きくはないのだが、搭載エンジンが4リッター直6ということで度肝を抜かれたことを覚えている。

 登場後しばらくはMTのほか3速ATだったというのも当時のアメリカ車らしさを醸し出していた。実際運転してみると、とにかくロードノイズなどがダイレクトに入ってくるので、うるさかったという印象が残っている。

 そんな2代目の思い出しながら現行モデルに乗り込むと、「えっラングラーなの?」と思うほどゴージャスなインテリアになっている。しかもそれだけでなく、静粛性もはるかに向上していた。2代目ではマニュアルエアコン(ついているだけマシ?)だったのが、いまではオートエアコンとなり、インパネセンターには大きめなディスプレイがあり、カーナビはじめさまざまな情報を表示することができる。とにかくスイッチが多いことに驚かされた。

 車内はクライスラー系車種独特の、おもに接着剤のものと思われるが、新車の香りが漂っており、アメリカ車を愛してやまない(カローラ並み)筆者を歓迎してくれた。馴染みのある香りがしたので、アメリカ生産モデルであると確信して安心することもできた。ジープは一部を除きハンドルの位置に関係なくアメリカ生産となるのだが、ほかのクライスラーブランドモデルの右ハンドル車の多くはオーストリア生産となる。その違いは大きいので筆者も気をつけている。

 また、アメリカ生産モデルの試乗車では、“MADE IN USA”という表記を探すのも筆者の楽しみのひとつだ。ジープではフロントやリヤ、サイドなどガラスそれぞれに、これでもかと“MADE IN USA”とプリントされている。運転席側ドアの内側のコーションプレートにももちろん“MADE IN USA”と書かれている。今回試乗したモデルでは、リヤラゲッジドアの内側にプレートがあり、そこには星条旗の横に“MADE IN THE USA”と書かれているだけではなく、“DEVELOPED IN AUBURN HILLS,MI(開発したのはミシガン州オーバーンヒルズ)”や、“BUILT IN TOLEDO,OH(生産したのはオハイオ州トレド)などとも書かれていた。アメリカ車だけでなく、アメリカのすべてをこよなく愛する筆者には、このような表記を見つけたときの感動は表現できないほど大きいものとなる。

 このような表記はGM(ゼネラルモーターズ)車やフォード車でも見かけることができるが、ここまで“MADE IN USA”だらけなのはクライスラー系でもジープブランド車がとくに顕著なように見える。GMやフォードも含め、多くのアメリカンブランドはほぼ“北米限定”ブランドと言っていい存在となっている(中国でビュイックが目立っているぐらい)。そのため、使う人はほぼアメリカ人(ほかにカナダ人やメキシコ人)となるので、あえて愛国を強烈にアピールする必要はないともいえよう。ただし、そのなかでジープランドは、数少ないというかほぼ唯一、グローバルに売れているブランドともいえる。そのためもあって、“USA”を強調しているのかもしれない。

 クライスラーについては、FCA(フィアット・クライスラー・オートモビルズ)となったとき、保守色の強いアメリカ人を中心に、“クライスラーは海外のブランドとなった”という印象を持った人が多かったという話を聞いたことがある。それもあって「USA”を強調しているのかなぁ」などと筆者は密かに感じている。

 欧州系アライアンスメンバーとなったとしても、お馴染みのアメリカ生産を物語る新車の香りを堪能でき、そこかしこに“USA”と書いてあるので、筆者からすればアメリカ生産車には変わらず、その満足感はかなり高く、試乗している間は至福の時間を過ごすことができた。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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