トーションビームとは思えないしなやかなリヤサスの動きに感動
1.2リッター直3ターボと1.6リッター直4ターボベースのプラグインハイブリッドをラインアップするが、試乗したのは1.2リッター直3ターボ。全長4700mmという大柄なボディを1.2リッターで走らせるわけだが、非力感はまるで感じない。1430kgという軽めの車重も効いているようだ。直3ながら静粛性能の高さもありエンジン音が気になることもない。
ステアリングフィールはドイツ車とは異なりフランス車らしい軽い印象となるが、不安を覚えるような軽さではない。19インチという大径タイヤで腰高スタイルとなるのだが、妙な不安定感もなくじつに気持ち良い。フランス車らしいソフトな足まわりも好印象である。
首都高速の高架の継ぎ目を踏んでも嫌な突き上げイメージもない。そこで、ハッと我に返った。じつは新型408のリヤサスペンションはトーションビームだったのである。ところがトーションビームを感じさせず、4輪独立サスかと思うぐらいの好印象であったのである。
筆者のいまの愛車は2023年10月に改良を行ったトヨタ・カローラセダン1.5リッターガソリンエンジン車。改良前までは全車リヤサスはダブルウイッシュボーンだったのだが、改良後はセダンとツーリングのガソリン車のみトーションビームに変更された。そして、納車後すぐ、トーションビームになったことを痛感した首都高速一号横羽線を新型408でも走ったのである。愛車カローラセダンで横羽線の継ぎ目を踏んだときは「ああ、左右のサスがつながっている」という印象を強く受け、踏んだあとに左右をつなげているバーがしなるようなフィーリングを感じたが、新型408ではほとんど感じることができなかった。
カローラの車両価格222万円に対し、新型408 GTは499万円という差が、今回の大きな印象の差につながっているのだろうかと考えてしまった。
カローラだけとなるが、30年以上にわたりトヨタ車を乗り継いだ筆者としては、最近の一部モデルは別としても、トヨタ車はフランス車に近い乗り味だと考えている。ただ、たとえ価格差があるにせよ、新型408のトーションビームサスの出来はさすがと言うしかなかった。
カローラも現行モデルになってだいぶ基本性能はアップしてきたと感じているので、次期型カローラセダンのガソリン車でもトーションビームを採用する予定ならば、新型408に迫るようなリヤサスに成長していることを信じて新型408の試乗を終えた。