日本のアプローチに違和感
相変わらずテレビニュースでは、「BEVは災害時には非常電源としても便利です」といったトピックを紹介しているが、政府の購入補助金制度があったとしても、割高感の残るBEVを非常電源代わりに買おうと思う人はなかなかいないだろう。これは行政が公用車を買う時には大切な理由となるかもしれないが、個人ユーザーに対し、この理由で積極的にBEVを買わせようとするのは少々アプローチが間違っているように見える。
タイではまず富裕層からBEVに乗ってもらおうという側面で普及促進策を進めている。アメリカでもカリフォルニアあたりで見ていれば、富裕層が日常生活の足代わりにおもちゃとして買って乗っているように見える。富裕層がオシャレにBEVに乗っている姿をまず見せて、イメージ作りから入っているようにも見える。
また海外で見ているといままでのICE(内燃機関)車とはまったく別物という視点で作る側も売る側も、そして使う側も共通認識として見ているように感じる。いままではまったく異なる乗り物を所有することで、生活がどう変わるかなどワクワクした気持ちを消費者に持たせることがBEV普及にはまず大切であると筆者は考えている。
繰り返すが、日本よりも大きくて強い政治体制の中国であっても、購入補助政策を設けて、国策としてBEVの普及を進めても全体の3割ほどしか売れていないのが実状。
努力義務メインで日本においてBEVが飛躍的に普及したとしたら……、日本という国を世界から見れば不思議な国というイメージがより強まっていくことになるだろう。