マシンの仕様はいたってシンプル
こうして塙選手はライズでラリー競技車両を作成し、今年の東京オートサロンに出品。プロモーションやテストを行なって、ラリー・カムイで実戦デビューを果たした。
気になるマシンの仕様はいたってシンプルで、ロールゲージ、ダンパー&スプリング、ブレーキパッド、タイヤ&ホイール、マフラー、レーシングシート、シートベルトを競技用にアップデート。ほぼノーマルに近い状態で、塙選手によれば「改造費は100万円ぐらい。デフもノーマルだし、タイヤもライフが長いから、1セットのみで1シーズンを持たせることができる」とのことだ。
しかも、そのパフォーマンスは十分にドライバーを満足させるもので、「もともと車高が高いので、腹を擦ることはないし、車両重量も軽いのでドライビングしやすい。CVTのDレンジはずっとパワーバンドのままなので十分早いしね。最高速はグラベルの場合、120km/hぐらいしかでないけど、十分に老眼でも楽しめる。ダートで遊ぶには十分です」と塙選手が語るように、コストパフォーマンスの高い仕上がりだ。
この注目の塙選手×ライズはレグ1で駆動系のトラブルが発生し、FFの状態となったことで納得の走りはできなかったが、それでもXC-3クラスで勝利を獲得。次戦は2023年9月8日〜10日に北海道帯広市を舞台に開催される全日本ラリー選手権・第7戦「ラリー北海道」に参戦する予定となっているだけに、国内屈指の高速グラベルでも塙選手×ライズの動向に注目したい。
なお、全日本ラリー選手権・第6戦のラリー・カムイとしては、シュコダ・ファビアR5を駆るヘイッキ・コバライネンがSS1、トヨタGRヤリスを駆る柳澤宏至がSS2でリタイアするなど波乱の展開となるなか、トヨタGAZOOレーシングWRJでGRヤリスJP4-Rally2を駆る勝田範彦がJN-1クラスでシーズン初優勝ならびにGRヤリスJP4-Rally2としての初優勝を獲得。シュコダ・ファビアR5を駆る福永修が2位、シトロエンC3R5の今井聡が3位で表彰台を獲得した。