普通充電をこまめに行うのが理想
また、メーターに0%の表示が出てしまうほど電気を使い切るのではなく、充電量の減り具合が少し不安になるころ、多少でも補足の充電をすることが、リチウムイオンバッテリーにとって快適な充電方法になる。
その昔、ニッケルカドミウム(通称ニッカド)やニッケル水素バッテリーを使っていたときは、電気を使い切ってから充電しないとメモリー効果が起き、満充電にできなくなるといった特性があった。しかし、リチウムイオンバッテリーにメモリー効果はない。こまめに補充電を繰り返すのが適している。
ところで急速充電は、基本的に30分で80%までしか充電できないので(立て続けに繰り返し充電するとより多く充電できる)、100%まで充電しないためリチウムイオンバッテリーに負担の少ない充電方法だと考える話がある。だが、それは正しくない。単に100%か80%かということだけではなく、リチウムイオンバッテリーにとって負荷の少ない充電は、200ボルト(V)による普通充電をこまめに行うことだ。公式な数字ではないが、普通充電をしていれば、100%近い充電をしても10万キロメートル走ってなおバッテリー劣化はほとんどないという事例もある。
急速充電を身近なことに例えれば、早食い競争を毎食するようなものだ。それではお腹をこわしやすいだろう。よく噛んで、ゆっくり食事をするのが健康によい。腹八分目ともいうではないか。リチウムイオンバッテリーに適切な充放電は、それに似ている。
まとめると、リチウムイオンバッテリーといえども、バッテリーである以上劣化はする。しかし、充放電の仕方によって寿命を延ばすことはできる。基本は普通充電で、100%に至らない範囲の充電をし、0%近くまで使い切る乗り方をできるだけ避ける。
そのためにも、移動の経路で行う急速充電より、自宅と目的地などで不自由なく充電できる普通充電の基盤整備が不可欠なのだ。