もはやライバルは身内にしかいない
で、本題。新型アルファードがN-BOX化、つまり国産ハイエンドミニバンとして今後も孤高の存在であり続けられるかだが、N-BOX化どころじゃないと考える。
だって、N-BOXはたしかに軽自動車、スーパーハイト系軽自動車のジャンルで独走を続けているし、国内の新車販売台数でも常に上位にランキングされてはいるものの、たとえば2023年6月の軽自動車の新車販売台数ランキングでは、1万6040台を記録して1位を記録しているものの、同ジャンルのスーパーハイト系軽自動車のタントが2位の1万4572台につけているのも事実。完全な独走ともいい切れない。スペーシアが1位だった月も過去にはあるのだ。
が、これまでの国産ハイエンドミニバンの新車販売台数を振り返ればわかるように、このクラスでアルファードに販売台数で迫るようなライバルは皆無だった。トヨタの販売力もさることながら、黒塗りも似合うライバルを寄せつけないデザイン性、存在感、エルグランドにないハイブリッドの用意、VIPに刺さる「エグゼクティブラウンジ」といったグレード名、さらに先代の場合では、2列目席が4種類から選べる選択肢の豊富さ、価格帯の幅広さ、室内高1400mmによる圧倒的な室内空間のゆとり、装備類の充実度を含め、ハイエンドミニバンを望む一般ユーザーからVIPのクルマの使い方にも寄り添うもてなし感など、どう見てもアルファードはライバルの追随を許さない存在であり続けてきたわけだ。
では、近い将来、ホンダ・オデッセイの新型(といっても改良版だが)、日産エルグランドの新型が登場してその図式が変わるかといえば、もはやVIPの乗るクルマとして定番化されたアルファードの牙城を崩すのは極めて難しいと思える。トヨタ・アルファードのライバルは、直近では、同社内のレクサスLMでしかない……というのが、これから先に展開される図式になるはずだ。もっとも、LMの価格はアルファードの倍以上ともされていて、VIPを含めた誰もがおいそれと手を出せるクルマではないことも事実。
さらに、現在ではまずは国産ハイエンドミニバンファン、VIPに向けたエグゼクティブラウンジ、Zというアルファードのなかでもハイエンドなグレード、豪華な2列目キャプテンシートのみのグレード展開になっているものの、この先、比較的リーズナブルな価格帯のモデルが追加されれば、さらに一般ユーザー、ファミリーユーザーを巻き込んだアルファード人気が超爆発的に高まることは必至。ますます、「N-BOX化」どころじゃない、ライバルをどうにも寄せつけない存在になるに違いなさそうなのである。
とはいえ、国産ハイエンドミニバンの選択肢がほぼアルファード一択ではつまらないではないか。ここは、国産ハイエンドミニバンで唯一、アルファードに対抗できる可能性がある日産エルグランドの次期型(e-POWERやプロパイロット2.0搭載?)に大いに頑張ってほしいと願うばかりである。