世界中の王族から宮内庁まで愛用の唯一無二の超高級車! ロールスロイスのオープンモデル「ドロップヘッドクーペ」を振り返る (2/2ページ)

BMW傘下へ入り新世代のロールスロイスへ

ファントム・ドロップヘッドクーペ(2007〜2016年)

 BMWの傘下となったロールスロイスから最初に登場したモデルがファントム。2003年に4ドアセダンが登場し、2007年にオープンモデルのドロップヘッドクーペが追加されました。

 同車は2004年のジュネーヴショーへ出展されたコンセプトカー『100EX』ほぼそのままのフォルムで登場。ショー公開時に好評だったブラッシュ仕上げのステンレスボンネットもオプションで装備することが可能でした。

 ファントムをベースとしながらも、クーペ化するにあたり全高を70mm下げ、全長も250mm縮小されています。また、ボディパネルもすべて専用で、ヘッドランプは超薄型LEDポジショニングランプを装着するなど、フロントマスクのデザインも変更されました。

 パワーユニットは6.75リッターのV12エンジン。最高出力460馬力を発揮するエンジンを搭載したことで、0-100km/hは5.9秒を実現しています。

 同車のルーフは電動開閉式ソフトトップを採用しました。オープン時にトップが収納されるデッキはチーク材で仕立てられるのが特徴。その仕上げには最長で1カ月もかかることが話題を呼びました。

 同車の特徴といえば前開きのコーチドアも忘れてはいけません。スペースフレーム構造を採用し強度は抜群。高級クーペらしい優雅さを備えたドアに仕立てられています。

 ファントムは2017年に新型へとモデルチェンジしましたが、ドロップヘッドクーペはラインアップされていません。高級コンバーチブルは後ほど紹介するドーンがその座を受け継いでいます。

ドーン(2015〜2023年)

 ロールスロイスの新型ドロップヘッドクーペとして2015年に発表されたのがドーン。2ドアクーペのレイスをベースに仕立てられましたが、ボディパネルは約8割が専用デザインとなっています。

 ドーンという車名は、1950年から1954年の間に生産された『シルバードーン』からインスパイアされたもの。ちなみにベースとなるレイスも1938年から生産されたモデルにあやかってつけられました。

 ボディサイズは全長5295mm、全幅1945mm、全高1500mmと巨大ですが、ファントム・ドロップヘッドクーペと比べるとひとまわり小さくなっています。

 パワーユニットは「史上最高にパワフルなロールスロイス」と謳われたレイスと同じ6.6リッターV12ツインターボエンジンを搭載。ただ、レイスのエンジンは最高出力が632馬力なことに対して、ドーンは571馬力とややデチューンされました。

 コンバーチブルらしい乗り心地や優雅さを重視した性能におさえられたドーンですが、とくに静粛性にもこだわられています。

「音のない舞踏」をテーマにファブリック製ソフトトップルーフを設計。そのルーフは6層構造の電動開閉式で時速50kmまでであれば走行中の開閉も可能としました。

 ドーンは発売後、好調なセールスを記録し、歴代ドロップヘッドクーペにおいてもっとも売れたモデルとなりましたが、2023年5月に生産終了となりました。

まとめ

 現状、ロールスロイスがラインアップするオープンモデルはありません。ドーンの後継モデルもまだ発表されていませんが、BEVのラグジュアリークーペ「スペクター」(2023年第4四半期発売予定)をベースに新たなドロップヘッドクーペが登場するのではと噂されています。

 そのスペクターは、ロールスロイスの伝統的なデザインを踏まえつつ、流麗なルーフラインやヨットにインスパイアされたというボディ下部ラインなど、新世代のクーペに仕立てられました。

 同車をベースとするドロップヘッドクーペがどのように仕立てられるかいまから楽しみです。


手束 毅 TEZUKA TSUYOSHI

フリー編集者/ディレクター

愛車
プジョー407SW
趣味
ゴルフ、食べ飲み歩き
好きな有名人
玉袋筋太郎

新着情報