新規受注停止で苦戦を強いられたモデルも
含軽統計2位のヤリスは、上半期では自販連統計で合算されるヤリスクロスが新規受注停止になるなど思うように生産できなかったことが販売台数の伸び悩みにつながっているようだ。含軽統計3位のカローラもカローラクロスの新規受注停止が、販売台数に悪影響を与えているといえよう。
含軽統計4位でやっと軽自動車のみで2位のダイハツ・タントが出てくる。ダイハツは2023年に入ってから、軽四輪乗用車の自社届け出(新車販売台数の上積みを狙って、ディーラー名義などでナンバープレートだけつけること)を積極的に行っていることもあり、いままでスズキが軽四輪乗用車販売ではダイハツをリードしてトップになることが多かったのだが、2023年に入ってからはダイハツがトップを維持している。自社届け出も熱心におこなっているのに、トップのN-BOXと軽自動車のみで販売2位のタントとは3万台近くの差がついてしまっているので、N-BOXがどれだけ売れているのかがよくわかるはずだ。
軽自動車ではメーカー間でスペック上の差と言うものはほとんどない。そのため見た目で選ばれることが多く、さらに「日本で一番売れています」というフレーズにもお客が流されやすいので、それもN-BOXの販売台数を押し上げている。
6月21日に新型アルファード&ヴェルファイアがデビューした。支払い総額で700万円近い高級ミニバンだが、先代モデルではアルファードだけで年間10万台以上を販売したこともある。N-BOXを10万台売るよりも、アルファード10万台売ったほうが得られる利益はハンパなく多い。軽自動車のN-BOXばかりが売れるアンバランスな販売状況では、年間販売台数1位を続けているとはいえ、手放しで喜ぶべきトピックではないのである。
かつてスバルは軽自動車を生産し販売していたが、それをやめたことが今日の世界的なブランドステイタス向上の一助になったとはよく言われること。軽自動車は数が売れるのだが、スズキやダイハツのように、もともと軽自動車がメインでもなければ(軽自動車を中心とした商品ラインアップを行い、軽自動車自体の作り方も心得ている)、薄利多売が大原則なのでメーカー全体で見れば体力消耗の激しいカテゴリーでもあるともいわれている。
また、販売現場を見れば、車種を売り分けるのが苦手というのはホンダディーラーの伝統ともなっているといわれているが、その傾向は見事に車名別販売台数ランキングに表れているといってもいいだろう。