この記事をまとめると
■正しい運転姿勢はクルマを安全に運転するためには非常に重要だ
■ステアリングホイールを前後に調整できるテレスコピックがあると調整がしやすい
■コストのかかるテレスコピックは装備していないクルマも多い
軽自動車への装着促進が期待されるテレスコピック機能
クルマを安全に楽しく運転するには、運転姿勢を正確に調節することが大切だ。ペダルを操作しやすい位置に前後スライドを調節したら、着座姿勢が安定して良好な視界も得られるように、運転席の上下調節も行う。背もたれを若干立ち気味にセットして、重い頭部を腰で確実に支えられるようにすると、シートの調節は終了する。
その次に行うのがステアリングホイールの調節だ。ステアリング操作をしやすい位置に、チルト機能を使って上下調節を行う。次はテレスコピックにより、前後の位置も調節する。前後調節では、ステアリングホイールを保持したときに、腕が伸び切ったり近付き過ぎないように注意したい。
このように、運転姿勢の調節は大切で、いまは大半の車種に、ステアリングのチルトや運転席の上下調節機能が装着されている。
しかし、ステアリングのテレスコピック機能は、車種によって設定が分かれる。たとえばコンパクトカーのノートやフィットには、テレスコピック機能が標準装着されるが、軽自動車のN-BOXやルークスは非装着だ。
設定の状況は軽自動車でも車種によって異なり、N-BOXよりも価格の安いN-WGNは、テレスコピック機能を全グレードに標準装着する。現行N-WGNは、N-BOXよりも設計が新しく、ホンダの軽自動車では初めてテレスコピック機能を装着した。
軽自動車などの低価格車を中心に、テレスコピック機能を備えない車種がある理由は、機能が複雑になってコストも高いからだ。前述のように、上下調節のチルト機能に加えて、前後に伸縮させるテレスコピック機能も装着すると、ステアリングシステムの構造が一層複雑になってしまう。しかもこれらの調節機能を加えながら、ステアリングの支持剛性は高く保たないと、ステアリング操作に対する車両の反応が鈍くなったりする。
したがってチルト&テレスコピック機能を装着して、運転感覚も上質に仕上げると、コストが高まるのは当然だ。そのために価格の安い車種には装着しにくくなっている。
それでもテレスコピック機能は、正しい運転姿勢を取るには大切だ。N-WGNに装着されたから、2023年の後半から2024年にかけて登場する次期N-BOXも採用するだろう。N-BOXは国内のベストセラーカーだから、他車に与える影響も大きく、今後は軽自動車でも普及が進むことになる。