キャラクターラインとバイトーン塗装で個性を表現する
●サイド面に加えられたグラフィカルな演出
で、C-HRのデザインは、意外に素直なSUVクーペボディにどんな演出を加えるか? がキモになります。初代は、先の通りダイアモンドのカットを思わせるひし形をサイド面に描き、「こんなの見たことない!」と思わせる意外性がまさにキモでした。
一方の新型は、まず先のバイトーンが最大の演出でしょう。一見、リヤドアのカットラインが境目かと思いきや、途中から鋭角に折り返す塗装はほとんど「オキテ破り」と言える発想。これによってリヤバンパーまでがブラック塗装となり、ボディ後半に独特の重厚感が生まれています。
トヨタでは、クラウンクロスオーバーが外枠とブラックの芯という2重構造を、やはり独自のバイトーンで表現しましたが、新型はこれをさらに一歩進めたようです。
そしてもうひとつが「Y字」形のキャラクターラインです。アルファベットのYを横にしたようなこの表現は、最近だとプジョーの2008や新しい408でも見られ、ちょっとした流行とも言えるもの。
これは一体何?……とじっくり眺めると、ドア面から前後フェンダーの張り出した面に向かう造形を幾何学的に表現したもの、に見えてきます。もちろん、より単純にサイド面を彩るアクセントだとも言えるのですが、同じ表現がメーカーを越えて用いられる点は興味深いところです。
さて、ザックリとエクステリアをチェックしてきましたが、初代も含め、C-HRの特徴は「SUVクーペのボディにグラフィカルな演出を施した」ところにありそうです。つまり、大きな造形の変化ではなく、あくまで視覚演出的な見せ方ということです。
その意味で、市販版に用意されるかは不明ですが、個人的にはバイトーンではない仕様を見てみたいところ。もちろん、この塗装自体を「独自性」として評価するべきなのですが、せっかく凝縮感のあるボディを得たのですから、その形状自体の魅力も見てみたいと思えるのです。