廃止になるから駆け込みで買ったのに……復活だと!? ホンダの「復活商法」に隠された意味 (2/2ページ)

今後は販売戦略の見直しも必要だ

 このように車種の廃止は大きな損失を生むから、各メーカーとも慎重に行う。つまり、廃止は考え抜いた末に行うことだから、復活はほとんど生じない。

 ところがホンダは、頻繁に廃止と復活を繰り返す。ユーザーの気持ちを考えず、車種を安易に廃止していると受け取られても仕方ないだろう。

 ホンダが車種の廃止と復活を繰り返す理由は、国内市場に向けた戦略が乏しいからだ。どのように市場を構築するのか、明確な方針があれば、朝令暮改は生じない。

 ほかの理由を強いて挙げれば、先代型と現行型のN-BOXが、優秀で売れ過ぎていることもあるだろう。N-BOXはベストセラーカーで、2023年1〜6月に国内で新車販売されたホンダ車の内、40%を占めた。ひとつの車種が、国内販売総数の40%に達するメーカーはほかにない。

 そこにN-BOX以外の軽自動車も加えると、国内販売総数の56%に達する。さらにホンダの国内販売台数が2番目に多いフリードまで加えると、70%を超えてしまう。したがってフィット、ヴェゼル、ステップワゴン、シビックなど、フリード以外の小型/普通車は、すべてを合計しても国内販売総数の30%以下にしかならない。

 以上のようにホンダの戦略が乏しく、しかも特定の車種が堅調に売れていて窮地には陥っていないから、国内販売が漠然と進んでいる。

 問題は今後、N-BOXやフリードの売れ行きが下がったときだ。依存度が大きいから、国内販売が揺らいでしまう。ホンダは、フリードからステップワゴン、さらにオデッセイへのアップサイジングなども含めて、国内の販売戦略を根本から再構築する必要がある。


渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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