個性的なだけじゃない実力も伴ったしなやかな走り
今回は1.2リッター3気筒ターボエンジンを搭載する純ガソリン車のGTをメインに、PHEVモデルも参考試乗をすることができた。
1.2リッターターボエンジン(132馬力/250Nm)+8速ATの試乗車は、担当編集者とカメラマンの男性たちを伴う3人乗りだった。地上高170mmを保つ「408の足もとはいかに?」と走り出すと、じつに滑らか。平坦な街なかでの加速は十分。8ATのシフトアップもスムースかつ速やかで一定速度での走行もしやすく、扱いやすさを感じることができた。
高速のランプウェイの登坂路の加速にも不満なし。走行中の再加速についても大人3人乗車ではややマイルドな盛り上がり方ではあったったものの、少しの不満も不安も抱くことはなかった。
サスペンションはフロントがマクファーソンストラット式、リヤはトーションビーム式となり、19インチのミシュランe-PRIMACYタイヤを履く。コーナリングを走り慣れた高速のランプウェイで試したが、接地性に優れていて安定感も十二分。狙ったラインを腰のあるしなやかな印象とともに通過した。
特筆すべきは乗り心地の良さだ。まず立体形状でサポート性にも優れるフロントシートはもちろん、リヤシートは178cmの長身の男性の頭上、足もとにも十分なスペースが保たれ、座面の奥行きもしっかりとある。乗り心地を含むリヤシートの高い快適性も408の特徴と言えるだろう。
参考までに同業者に相乗り試乗させていただいたPHEVモデルは、1.6リッターターボエンジン(132馬力/250Nm)にモーターの駆動アシスト(81馬力/320Nm)もあるおかげで発進がさらに軽やかだった。車重はこちらのほうが300kg弱も重いが、実際のドライブではシャープな加速と軽快なドライブフィールという印象を強めてくれる。静粛性もより高く、車重がポジティブに働いてドッシリとした重厚感も動的性能に加わり、上質な印象だ。
ピュアなガソリンモデルでプジョーらしい腰のあるしなやかな走りを選ぶか、エレガント&スポーティな雰囲気で楽しむかは悩ましい。
しいて言えば、PHEVの燃費の17.1km/L(WLTC)は少々ものたりない。日本には国産メーカーの燃費に優れたHEVも多いし、さらにいえばルノーのHEVも20km/Lを上まわるからなおさらだ。1.2リッター3気筒ターボはWLTCで16.7km/L。走行シーン別でふたつのパワートレインを比べても、ガソリンの郊外モードが16.4km/Lに対しPHEVが18.3km/Lである以外はあまり差がない。
デザイン買いをするなら価格面で優るガソリンを選ぶのも賛成だけど、PHEVは補助金や税制優遇もある。自宅で充電(6kWチャージャーなら2時間半で満充電が可能)をしながら日常使いをすれば、最大66kmまでEV走行もできるから、使い方によってはPHEVも検討する価値があるのではないだろうか。静粛性や乗り心地などの快適性=上質感はやっぱりPHEVが勝る。
ちなみに燃費性能にも優れるディーゼルは、いよいよ本国でもラインアップされなくなってしまったそうだ。代わりと言ってはなんだけど、BEVモデルのe-408の登場があるらしい。
ボディカラーは4色。試乗車のエリクサー・レッドは日射しにパキッと照らされるとエネルギッシュ&スポーティな印象を抱く一方、曇り空の下でもボディの陰影が味わえてエレガントだった。
また、プジョーといえばブルーへのこだわりが強いが、この408には新色の「オブセッション・ブルー」が採用され、これがまた色の変化も美しく楽しめるブルーだった。陽の光や見る角度によってエメラルドグリーンに見えたのだけれど、説明によると直射日光では金色がかったブルーにも見えるらしい。
408GTはグリルまでボディカラーと同色でデザインされているので、ボディカラーの違いによる印象の変化もハンパない。さすが408の主力モデル=GTというわけでカラーバリエーションも4色が用意される。
フランス車のプジョー、走りもデザインもパッケージングもまさに街の遊撃手と言えそうでしょ。