予想を裏切るギミックで意外性バツグン
点き方のクセ強系
ライトを点灯させるのに、アメ車ほどくどい演出を凝らしたクルマはないと思っていましたが、イタリア人もわりかし好きだったようです。例えば、アルファロメオの目立たない傑作GT「モントリオール」ですが、片側丸目2灯をルーバー状のカバーがあたかも日よけのようにかぶさったデザイン。
これ、大半の方がそのまま点灯するものと思うでしょうが、実際はこの日よけはクルッとまわってライトの下方に格納されるのです。すると、日よけのあったボンネット側には切り欠きというか、グリルに即したキャラクターラインが現れるという凝ったもの。
前述のミウラをデザインしたマルチェロ・ガンディーニがいかにも作りそうなギミックです。
クセ強系その2
リトラクタブルライトというと、カバーというかライトが縦方向にパカっと開くと思うもの。それがオペルGTのように横方向の回転というのも意表をつくというか、クセが強く感じられます。
しかも、これ手動でまわすとのこと。となると、ちびっ子たちが渡る横断歩道で「くるりんぱ」と見せてやったりすると喜ばれること必定。
手動といえば、コード812というレアなアメ車もヘッドライトに瞼のようなカバーがついていて、ドライバーが車内のハンドルをグルグルまわして開閉させる仕組み。
1937年製といいますから、マニュアルというのも致し方ないっちゃないのですが、だったら最初からリトラクタブルとか凝った真似しなくとも……というのは野暮でしょうか。
動きがキュート系
デザインやギミックだけでなく、ヘッドライトの動きそのものが滋味深いものもあります。有名なところでは、シトロエンDSがハンドル操作に合わせてライトが動き、コーナーの先を照らすというもの。
機能云々はともかく、先進的なアイディアはじつにシトロエンらしく素晴らしい。ちなみに、当時のプロモーションムービーもフィルムノワールばりの映像&サウンドなので、興味があればぜひチェックを!
また、ムービーといえばロータス・エラン(初代)のリトラクタブルライトの動きもぜひ映像でご覧いただきたいもの。これ、動力源にエンジンの負圧を用いているため、左右同時でなく、片方ずつ、しかもじんわりとした動きが特徴的。当時からのオーナーによれば「この眠たそうな動きがいい」とかなんとか。
エランに対抗するとなると、コルベットC4のリトラクタブルアクションでしょう。
なにしろ、ライトが180°回転する仕組みですから、動きはキュートながら「壊れたらイヤだなパーツ」の筆頭かもしれません(笑)。