この記事をまとめると
■駐車場の多くに「駐車場内の事故の責任は負いません」という表記がある
■利用客同士の事故には基本的に施設側は関与しないことになっている
■ただし、施設側の不備でクルマにダメージが及んだ場合は施設側の責任になる場合もある
利用客同士のトラブルに施設側は関係しないが例外もあり!
ショッピングモールや飲食店、その他の店舗の駐車場でよく見かける「駐車場内の事故の責任は負いません」の看板。
あの表記はどういう意味なのか。そして法的効力は?
まず店舗の駐車場内で利用客同士が事故を起こした場合、事故の当事者は利用客なので、店舗側が責任を負うことは原則としてない。
店舗の駐車場は、利用客に駐車スペースを提供しているだけなので、店舗側に過失がない限り、駐車場での事故について責任を問うことはできないことになっている。
例外的に、駐車場の構造や設備が原因で事故が発生した場合や、店舗の看板が落ちてきた、店舗ののぼりが倒れてきた、店舗の従業員による不適切な誘導が原因で事故が発生したといったケースでは、事故発生の過失割合に応じて、店舗に損害賠償を請求できると考えられる。
また、ホテルなどで従業員がクルマの鍵を預かり、クルマを駐車スペースへ移動させるときに事故が発生したとすると、店舗は客のクルマを預かっていることになるため、駐車場での事故について当然責任を負うことになる。
これらは「駐車場内でのトラブルについて、当店は一切責任を負いません」という表示があったとしても同じこと。
こうした表示は店舗側の一方的な表示であり、利用者との合意事項ではないからだ。
つまり、店舗に過失があった場合は、こうした看板があったとしても、駐車場で発生した事故の責任を免れることはできないわけだ。
なお、駐車場内は一般公道ではなく私有地なので、道路交通法の適用がされないことがあり、警察も民事不介入になるケースも考えられる。
ただし、私有地内であっても駐車場のように「不特定多数のものが自由に行き交うことができる場所」は、道路交通法の規程が適用されることになっているので、駐車場内で事故が起きたときも、まずは警察に届け出ること(負傷者がいれば、負傷者の救護が最優先)。
そのうえで保険会社へ連絡し、どのように対処すればいいか指示を仰ぐのが一番。事故の相手が利用客であった場合も、店舗側に過失があるように思えた場合も、素人では正しい対処ができるとは限らないので、保険会社というプロを頼るのがベストだ。
保険会社に相談しても、その事故での保険料の支払いがなければ、翌年の等級も変わらず、保険料も高くなることはないのでまず相談を(その場合、警察への事故届がないと自動車保険が使えなくなるので忘れずに)。
また、駐車場内で停車中に他車に当てられた場合、被害者側の保険会社は示談交渉を行えない規則があり、駐車場の設備の不備でクルマが傷ついた場合も交渉が難航することが考えられるので、そうしたことに備えて、自動車保険の弁護士特約は必ずつけておこう。