お金は掛かるがクルマがあるとやっぱり便利!
瞬間3:雨の日にスーパーまで買い物に行かなければならないとき
つまらない話ではあるものの、これは意外と決定的なのかもしれない。人間、生きていれば必ず(?)スーパーで食料品や日用品を買うことになる。その際に、都市部であれば自宅からさほど遠くない場所に数軒のスーパーマーケットがあるはずなので、歩いて行けばいいし、ちょっと遠めであるなら電動アシスト自転車で行けばいい。
しかしそれは「雨が降っていない日」限定の話だ。
まぁ小雨であればまぁどうってことないのだが、豪雨にも近いような雨が降っている日には、どうしたって歩いたり自転車に乗ったりはしたくないものだ。もしも翌日の予報が「晴れ」ならば、買い物は明日に回せばいいだけの話だが、あいにくこれから3日間は1時間あたりの降水量5mmを超える日が続くらしい──なんてときは、「あぁ、クルマがあればサクッとイオンまで濡れずに行って、米と水とシャンプーが買えるのに……」と、ほとんどすべてのクルマ非保有者が思うはず。いやホント、雨の日は自家用車があると便利なんですよ。
しかし……これも今や「決定的な理由」ではないのかもしれない。なぜならば、最近のスーパーマーケットは配達もしてくれるからだ。イオンには「おうちでイオン イオンネットスーパー」というサービスがあり、筆者宅に近いライフというスーパーマーケットであればAmazon経由にて、さまざまな商品を最短2時間で自宅に届けてくれる。
筆者は雨が降っている日でも必要に応じて自家用車でライフ桜新町店まで出向くが、自家用車がない人は、これらのネットスーパー機能を活用すればいいだけの話である──ということもできるのだ。21世紀ゆえに。
瞬間4:とくになし
瞬間3として挙げた雨の日のスーパーマーケット云々を書いてから、じつは1時間以上が経過している。その間、筆者はずっと「クルマが欲しくなる瞬間」について考えをめぐらせていたのだが、決定的なそれを見いだせないままでいるのだ。
いやもちろん、いわゆる地方にお住まいの場合とか、家族がいらっしゃる場合はぜんぜん別である。そういった場合には「クルマがあったらいいのに」と思う瞬間など、腐るほど存在するだろう。そして実際、前述した「2021年度乗用車市場動向調査」によれば、地方にお住まいの方と家族持ちの方の多くはまさに今、すでに自家用車を保有している。
そうではなく、ここで筆者が問題としているのは「都市部に住まう独身者に『自分のクルマがなくてはならない決定的な理由』はあるのだろうか?」ということである。
それを考えているのだが、なかなか見当たらないのだ。
筆者がとりあえず挙げた瞬間1~3はどれもそれなりの理由だとは思うが、“決定的”ではない。クルマがない場合の代替案も普通に存在するからだ。
そのほか「1人になりたいとき」や「終電の時刻を気にせず遊びたいとき」なども「あ~クルマがあれば!」と思う瞬間かもしれないが、それにしたって代替案はある。
都市部であっても、自家用車の車内以外に「1人になれる場所」なんてものはたくさんあるし、電車のダイヤグラムを気にしたくないのであれば、都市部においては「タクシー使えばいいじゃん?」のひと言でおしまいである。つまりどれもこれも理由にはなるが、“決定的な理由”にはなりにくいのである。
都市部に住まう独身者にとっての自家用車とは、決して「なくてはならないモノ」ではない。だからこそ、保有率が低い。
しかし同時に都市部に住まう独身者にとっての自家用車とは、「あるとよりいいモノ」であることも間違いない。日々の生活における利便性は確実に向上し、利便性が特に向上しない場合でも、アート・オブ・ライフとでも言うべき部分は如実に向上する。要するにクルマがあると“感動”が増えるのだ。
とはいえ──それらはどれも「自分のクルマを持ってみて初めてわかること」であるというのが、事態をややこしくしているのだが……。