この記事をまとめると
■クルマの保有率は地方圏の小都市で保有率は84.5%、東京23区では42.6%だ
■主要5都市(東京、大阪、名古屋、札幌、福岡)では51.4%という数値となっている
■今回はクルマが欲しくなる瞬間について考えてみた
都市部のクルマ保有率はけっして高くない!
筆者の場合は、遅咲きではあるものの24歳の頃に「あ~クルマ欲しい!」と突発的に目覚めて以来、クルマを欲しくなかった瞬間はなく、実際、その後は何らかのクルマを常に保有し続けてきた。そのため「クルマを保有していない人の心境」というのが正直よくわからないのだが、世の中では自家用車を保有してない人もけっこう多いようだ。
日本自動車工業会が2022年4月にとりまとめた「2021年度乗用車市場動向調査」によれば、2021年の国内における乗用車保有世帯の率は77.9%。これは約8割ともいえる数字であるため、「ほとんどの世帯はクルマ持ってるじゃん!」と思うかもしれないが、地域別や年齢階層別で見てみると、やはりそうでもない。
地方圏の小都市における保有率は84.5%と、さすがに「ほぼ全世帯」といえる数字だが、東京23区では42.6%と思いっきり低下し、主要5都市(東京、大阪、名古屋、札幌、福岡)の数字も51.4%まで低下する。
そして乗用車の保有率をライフステージ別に見てみると、「家族成長前期」と「家族成長後期」における保有率は80%を超え、その他のライフステージでもおおむね70%を超えている(※高齢期はさすがに65.7%まで低下するが)。しかし「独身期」だけは保有率が極端に低く、その数字は43.4%である。
要するに「今現在クルマを保有していない人」の多くは「都市部に住まう独身者」である──ということだ。当然ながらその属性が事実のすべてをカバーしているわけではないが、これが“典型”なのだ。まぁ都市部で身軽な暮らしをしていれば、クルマがなくても公共交通機関やタクシー、あるいはカーシェアリングなどでどうとでもなるため、むべなるかなというほかない。
しかしそういった都市部の独身者で、なおかつクルマにさほど興味はない人でさえ、「あ〜クルマ欲しい!」と思わず考えてしまう瞬間は絶対にあるはずだ。
そんな“瞬間”とは果たしてどんなモノなのか? 考えてみることにしよう。
瞬間1:IKEAに行って多くのモノを購入し「さて帰ろうか」と思った瞬間
別にIKEAじゃなくてもいいのだが、とにかく何らかの量販店へ行き、何らかの重量物を購入したり、重量はなかったとしても大量のモノを買い、そして支払いを済ませた瞬間、多くのクルマ非保有者は思うことだろう。「あぁ、クルマで帰りてえ……」と。クルマがあれば、混雑している公共交通機関の車内に「あ、すみません、すみません」などと言いつつ、ウザがられながら進入していく必要がない。クルマさえあれば、荷室に荷物をガッと載せ、サッと帰宅できるのに……と思うことだろう。
だがこの考察はまだ甘いのかもしれない。なぜならば、例えばIKEAでもヨドバシカメラでも、買った商品は店舗から自宅まで宅配便で送ることもできるからだ。そうでなくても、例えば「◯月×日はIKEAに行くから」ということでカーシェアリングの予約をし、それを利用することも可能だからである。……もっともっと強烈で明確な「あ~クルマ欲しい……!」と思わせる“理由”が必要なのだろう。ならば、次のシチュエーションでどうだろうか?
瞬間2:縦方向(南北方向)の移動がしたい。しかも雨が降っている
どこの都市でもおおむねそうだと思うが、横方向(東西方向)の移動というのは、公共交通機関でも比較的イージーにこなせるものだ。ターミナル駅から放射状に(つまりおおむね東西方向に)電車やバスの路線が伸びている場合が多いからである。
しかし縦方向(南北方向)の移動は、公共交通機関だとちょっとやっかいだ。まずは北東の位置にあるターミナル駅まで20分ほど電車で行き、そこから北西の方向に、また20分かけて電車で折り返す──みたいなのはよくある話である。クルマでサッと北上すれば、ものの15分で到着できる場所なのに……という感じだ。
しかもその移動をする日にけっこうな雨が降っていたならば、ほとんどのクルマ非保有者は思うことだろう。「かったりい……クルマ欲しい」と。