大きな違いは後席にある
しかし、アルファードとLM最大の違いは、LMが3列シート(6/7人乗り)とともに、ショーファードリブンに徹した、VIP待望の4人乗り仕様を設定しているところだろう。つまり、前席にお抱え運転手と秘書またはマネージャー、後席にオーナーのVIPが陣取る……というリムジン的な用途に向けた、アルファードにない超VIP仕様があるのだ。
しかも、これまたアルファードにない、前席と後席を仕切る、上部に昇降式スモークガラスを備えたパーテーションが設置され、48インチもの大型ワイドディスプレイまで用意されている。もちろん、2座のキャプテンシートもアルファードのエグゼクティブラウンジよりさらに豪華。レクサス初のアームレスト&オットマンシートヒーター、パーテーション上部の温熱感IRマトリクスセンサー(乗員と周辺温度を検知し、乗員の顔、胸、大腿、下腿の体の部位を4つに分け温熱感(温かさ/冷たさ)を推定することでエアコンやシートヒーターなどを一括コントロールし、車内を常に快適な温度に保ってくれる)を採用するとともに、シートにはリヤマルチオペレーションパネルを設置。脱着可能なタブレットサイズのタッチ式コントローラーで、リヤクライメートコンシェルジュ/シート/オーディオ/照明など後席の各種機能を操作することができるのだからVIPに刺さる便利さがある。アッパークラスの旅客機に乗り慣れているVIPも、これなら大満足できるに違いない。
ちなみにアルファードのエグゼクティブラウンジ仕様にも快適温熱シート+ベンチレーションシートなどが用意され、リヤエンターテイメントシステムが備わるものの、画面サイズは14インチ。リヤマルチオペレーションパネルも2列目キャプテンシート左右に付いているが、こちらはスマホサイズになる(それでも十二分に豪華で便利だが)。
つまり、VIPが望む両車のハイエンドモデルほど、4座仕様の有無が中心となるパッケージ、装備類で、価格差に見合った差が開く格好になるというわけだ。
もっとも、一般ファミリーユーザーにとって、LMの、とくにショーファードリブンに徹した4人乗り仕様はほぼ無縁の存在と言って良さそうだ。アルファードは現時点で2列目キャプテンシートの7人乗り(2-2-3人乗車)のみの設定だが、LMには6/7乗りとの3パターンのシートレイアウトが揃うため、ファミリーユーザーもそこはそれで大いに気になるところではある。
いずれにしても、アルファードの価格(540~872万円)はすでに分かっているわけだから、今秋に発表される予定のLMとの価格差が、実際、どれぐらいあるのかが、もしかしてアルファードか、LMかで悩んでいる人は選択の決め手になるかもしれない。いずれにしてもよりショーファードリブンに相応しいLMが1000万円オーバーになることは、アルファードの値付けから見ても確実だろう。それでも争奪戦になることは、今のVIPのクルマ選びの傾向からして、間違いなさそうだ。そして、この時代の、一般ファミリーユーザーでさえアルファードを好んで乗る、ハイエンドミニバン需要の高まりをこれまで以上に爆発させるタイミングが、新型アルファード&ヴェルファイア軍団VS国内初登場のレクサスLMの構図となる2023年秋ということだ。