中国のBYDがフランス市場に新規参入! 日本メーカーの「腰の重さ」に感じる不安 (2/2ページ)

欧州でも積極的な動きを見せるBYD

 地元フランスの自動車業界ではすでにBYDの動きを警戒しているとも伝えていたのだが、ZEVなので対ICE車のように税金の課税割り増しなどの対抗措置が取りづらいとし、しばらくは中国からの完成車輸入となるようなので、輸送船は二酸化炭素を排出するため、それに課税しようという、ややハチャメチャな話もでているようだ。ただこの話が実現化されれば、将来的には日本車もとばっちりを受けかねない話で他人事ともいえない。

 しかしBYDはすでにフランス国内での現地生産を模索しているとも伝えていた。このあたりはさすが先手を打つことには余念がない、中国メーカーといえるだろう。

 東南アジアでもすでに、大衆車レベルのBEVに関しては中国メーカーがその普及で主導権をにぎろうとしている。タイではMG(上海汽車)、GWM(長城汽車)、BYD(比亜迪汽車)、NETA(哪叱汽車)がすでに市場参入しており、さらに長安汽車が参入予定となっている。当然ながら価格主導権も握られることになるだろう。これから世界的に反転攻勢に出るとされる日系BEVだが、その多くは各市場で中国ブランドのBEVとかち合うことになるが、価格面で果たして近づくことができるのか不安を覚えるところである。ICEでは世界的な信頼も高い日本車だが、BEVでは本格市場参入ではまさに新参者となるハンデを跳ねのけるのはなかなか難しいように思える。

 日本国内でも街なかで結構BYDのATTO3(アット3)を見かけるようになった。気が付けばBYDは欧州市場でもかなり積極的に展開している様子。

 前向きに見れば、“鳴くまで待とうホトトギス”状態の日系ブランド。でも少々待ちすぎているようにも見え不安も見えてきている。BYDが発売後数カ月であっても、改良点が見つかれば改良を実行するというほどのフットワークの軽さを自負している。対して日系メーカーは腰の重さが目立っている。いつ日系メーカーが反転攻勢を仕掛けるのか、いまはただその日がくるのを信じて待つことしかできないようである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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