この記事をまとめると
■メルセデス・ベンツには「Future Car」を意味するコンセプトカー「F」シリーズがある
■「F」シリーズとしてF100、F200、F300、F400、F105などが存在する
■メルセデス・ベンツはこれまでも度々、未来を創造するようなクルマを送り出してきた
「未来」を意味する「Future」の頭文字から名付けられた
メルセデス・ベンツの「F」は、市販車ではなく研究開発のためのリサーチカーとして、ドイツ語のForschungsfahrzeug、英語でいえばFuture Carとなる、未来を見据えたコンセプトカーだ。
「F」のはじまりは、1991年に発表されたF100で、その後、モーターショーなどで発表されながら2015年のF015に続く。
「F」とは別に、メルセデス・ベンツには「Vision(ヴィジョン)」と呼ばれるコンセプトカーもある。こちらはデザイン部門が主導したクルマの提案で、最近では、電気自動車(EV)を前提としたEQXXが公開されている。「Vision」に対し、「F」は先行開発部門が携わったコンセプトカーとなる。
歴代「F」のなかでも異彩を放ったのは、F300(3輪車)とF400(4輪車)かもしれない。いずれも、カーブを旋回する際にタイヤのキャンバーを変化させ、あたかも2輪車のように旋回内側へ荷重移動させる。
クルマは、ことに速度超過でカーブに入るとタイヤのグリップの限界を超えて車体はカーブの外側へ外れていこうとする。旋回中は遠心力が働くためだ。それによって、対向車との衝突や、道路の外へクルマが飛び出すことによる交通事故につながる。
メルセデス・ベンツは、スウェーデンのボルボと同じように交通安全に対し古くから取り組んできた自動車メーカーで、衝突安全においては、衝撃吸収車体という構造を世界に先駆け実用化してきた歴史がある。今日では、すべての市販車がこの構想を採り入れた車体構造を持つ。