海外メーカーの協力なしではBEVバスの普及は進まない
ダイハツのEVは、大阪万博開催が50年ほど前ということもありゴルフカートレベルであったので、今回のEVモーターズジャパンの車両とは比較にはならない。ただキーデバイスの多くに日本製パーツが採用されており、車両生産を中国メーカーに委託しているとはいえ、「日系BEVバス」ともいえるのだが、中国サイドから見れば現状は中国生産ということもあり、『万博で中国系BEVバスが活躍』と捉えられかねないのも真実であろう。
老舗日系バスメーカー製BEVバスを走らせようにも、最近では日野が三菱ふそうと経営統合されるなど、それどころではない様子がうかがえる。全部を日本製で構成する『日の丸BEVバス』などは、開発期間や生産コストなど現実的なことを考えればほぼ実現不可能にも見えてしまう。つまり中国メーカーのみならず、海外ですでにBEVバスをラインアップしているメーカーとの協力なくしては日本国内でのBEVバスの本格普及はなかなか進まないものと筆者は考えている。
前述したとおり、13年前の上海万博ではキャパシタバスまでが走っていた。本来なら世界的にも自動車立国として有名な日本で開催される万博なのだから、すでに国内で営業運行されている純国産FCEV(燃料電池)バスが、いの一番で万博会場などで活躍しますと報じられてもおかしくないのだが……。乗用車も含め、BEV分野では少なくとも市販レベルでは出遅れ感が否めない状況ではそれは欲張りな話なのだろうか。自動車だけでなく今度の万博で日本政府及び日本企業が何を見せてくれるのか、果たして世界をあっと驚かせるものを見せることができるのか、おおいに期待したいところだが、どこか不安な気持ちにもなっている。