先代踏襲デザインの多い輸入車にも先代がよかったモデルはある!
【アウディA1】最新デザイン言語は少々口数が多い?
残りの2台は輸入車から。まずはアウディのA1です。2010年に登場した先代(初代)は、当時のVWポロをベースとしたエントリーモデルで、3ドアと5ドアのスポーツバックで構成。スッキリしたシングルフレームと繊細なキャラクターラインが引かれたシンプルなボディ、別色のピラーに囲まれた凝縮感のある丸いキャビンと、コンパクトながらじつに美しいスタイルでした。
一方、2代目の現行型は最新のアウディデザインを纏って2018年に登場。たとえば、フードとグリルの間に設けられたスリットや鋭角になったシングルフレーム、開口部の大きいバンパー。前後のブリスター風フェンダーに直線的なリヤピラー、複雑な形状のリヤランプなどがそれです。
これらのシャープなラインや硬い面によるスタイルは他のモデルと共通したもの。もちろん、変化すること自体はいいのですが、要素の多さによって少々ガチャついているのが気になります。それだけ先代のシンプルなカタマリ感が優れていたということです。
【BMW4シリーズグランクーペ】エレガントなボディにも最新の顔を移植する
最後はBMWの4シリーズグランクーペです。2014年発売の先代(初代)は、6シリーズに次ぐ2台目の4ドアクーペとして登場。アウディA5スポーツバックなどと同様、いまや貴重な売れ筋モデルに成長しました。
その魅力は、4ドアキャビンのルーフ緩やかに下降させ、クーペ的でありながらエレガントさを併せ持つ黄金比的な美しさ。流麗なボディと高い機能性という、言ってみれば「いいとこ取り」のワガママな商品企画です。
しかし、2021年登場の現行型は、例の巨大グリルをこの流麗なボディに取り入れてしまいました。キャラクターラインの位置を下げるなど、グリルとともに低重心を演出する意図は読み取れますが、それでもこのもっともエレガントな車型の鼻先に「壁」を持ってくるのはいささか疑問です。
「先代のほうがよかった」というクルマは過去にも多くありましたが、今回はあえて現行車種のなかから5台をピックしてみました。知りたい情報はいくらでも手に入る現代社会ですが、それでもある種の読み間違いが起こるのがクルマの持つ面白味であり、奥深いところとも言えるのです。