1.5リッターにして正解だった! そして現行のND型。この時のマツダ はSKYACTIVテクノロジーに全社一丸となって取り組んでおり、当然ながらロードスターもそれに倣って新規開発されました。ここで、人馬一体と並ぶテーマとして掲げられたのが「Lots of Fun」です。これはライトウェイトスポーツとしての原則である、軽量コンパクトなオープン2シーター、フロントミッドシップエンジン後輪駆動、前後重量配分が50:50、低ヨー慣性モーメント、さらに手頃な価格の実現を意味するものです。
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この実現のために、再び開発チームが挑んだのが「守るために変えていく」こと。NA型と同じ900キロ台の車両重量にして、ボディサイズを縮小するという、無理難題にも近い目標を立てたのです。これは単に原点回帰というような生やさしいものではなく、工場やサービス部門などともカンカンガクガクしながら、「軽量で、自分の手の内にあって限界まで使い切る楽しさ」というNAロードスター が世界に与えたライトウエイトスポーツならではの価値を、なんとかして守る、取り戻す、という強い情熱が伝わってきます。
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そしてそのなかの1つに、1.5リッターエンジンの存在があったのです。NC型の2リッターから、1.5リッターに変えることで約100キロの軽量化が見込めました。さらに、吸排気の脈動効果を従来より効率的に活用することなどによって、NB型後期の1.8リッターエンジンと遜色ないパフォーマンスが発揮できるように。FF用の1.5リッターSKYACTIVとは燃焼室以外はまったく異なるエンジンになっており、エンジンをスタートすると、一瞬ブオンと吹き上がり、その後スッとアイドリング回転まで落ち着くようにするといった、ロードスターならではのワクワクするような演出も実現しているのです。
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この1.5リッターエンジンを搭載したメカニカルプロトタイプが完成し、試乗した開発チームはこのときようやく、「ここまでやってきたことは間違いではなかった」と確信したといいます。それが、「NDロードスターには1.5リッターがベスト」という宣言につながったのです。
さらに、ロードスターがもっとも売れている北米からの要望により、2リッターも載せることになったわけですが、最初に車重1トンを切るという目標があり、達成していたからこそ、RFが良いものに仕上がったのだという経緯があります。この言葉からも、やはりNDロードスターはソフトトップの1.5リッターこそがオリジナルであり、あくまで2リッターは副産物なのだという推測ができます。それなのにソフトトップの2リッターまで出してしまったら、死ぬ思いをしてまで守ってきたものの価値が薄れてしまうというものです。
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「低速でも、ソフトトップを開けても閉めても、誰もが手足のように操れるクルマ」として、30年以上にわたってロードスターが愛され続けていることが、なによりその正しさを表していると思います。
さて、ここで気になるのは、マツダは「ロードスターはずっとつくり続けていく」ことも明言しているわけですが、今後はいったいどうなるのでしょうか。引き続き、注目していきましょう!