この記事をまとめると
■ワイパーの誕生は1922年のキャデラックに搭載された手動のものだと言われている
■現在もっとも多く使用されているワイパーはパラレル式と呼ばれるものだ
■「けんかワイパー」と呼ばれる変わった駆動をするワイパーも存在する
けんかワイパーとはそもそもなんだ?
梅雨の季節に欠かせない装備がウインドワイパー。ワイパーの基本構造は、100年前に考案されてからほとんど変わっていないといわれ、T型フォードの時代には、今のワイパーの原型がすでに考案されていた。そして。初めてワイパーを標準装備したのは1922年登場のキャデラックだといわれている。
※画像は1930年式のCadillac V-16
もちろん最初は手動だったが、電動になったり、間欠機能がついただけで、ほとんど進歩していないのがワイパーで、開発初期からすでに完成の域にあった希有な技術だけに、歴史が長い割りにバリエーションは驚くほど少ない。
もっとも一般的なのは、2本のワイパーを左から右に扇状に動かす、パラレル方式。乗用車の90%以上はこのパラレル方式を採用している。
パラレル方式以外で馴染みがあるのは、対向式あるいはオーバーラップ方式と呼ばれるいわゆる「けんかワイパー」。
けんかワイパーは、中央で重なるように収まっていて、動かすと左右両端に向かって広がっていき、再び中央に向かって倒れ込むように動くタイプ。一般的なパラレル方式に比べ、払拭面積が広いのが特徴で、フロントガラスが広いクルマやガラスの両端が大きく湾曲しているようなクルマに採用される方式。
メーカー別では、ホンダにわりと採用車が多く、8代目シビックのFD型や、クラリティ、ジェイド、オデッセイ(初代、2代目)、エリシオンなどが、けんかワイパーだった。トヨタの初代エスティマや、三菱のデリカスペースギアもけんかワイパー組に入る。
けんかワイパーには上記のようなメリットがある反面、ワイパーの軌跡が重なるため、左右のワイパーが干渉しないよう動作タイミングを調整する必要がある。そのために、部品点数も増え構造もやや複雑になり、それがコスト増につながるため、採用車種は限られてしまう……。