運転が怖い……な初心者は「峠」じゃなく「田舎の駐車場へ行け」! 普通に走れるようになる「コソ練」の極意 (2/2ページ)

3回か4回ほど行えば「ドが付く初心者」からは脱却できる!

 まずは、路肩から10cmぐらいの場所に真っすぐビシッと停める練習からだろうか。要するに「運転席から遠いサイドの車両感覚をつかむ」ための練習である。これがおおむねつかめれば、シビアで狭い都会の裏道においても焦らず運転できるようになる。

 で、この練習課程において左側のホイールをガリッとやってしまうこともあるだろうから、やはり昭和のおっさんが言っていた「最初のクルマはボロい中古車にしときなさい」というのは正しかったのかもしれない。

 路肩から10cmぐらいの場所におおむね真っすぐ停められるようになったら、次は「目印とする白線の位置まで、正確に前進または後進する」という地味な特訓だ。

「こんなもんかな?」と思ったら、まだまだ白線まで1mぐらい余裕があったり、逆に白線をオーバーランしてしまうことの繰り返しだろうが、「目標とするラインと、運転席から見える風景の関係性」を何度も確認しながら(途中でクルマを降りて、位置関係を車外から確認してみよう)、おおむね正確な位置まで前進または後進できるように練習を繰り返すのだ。とはいえ我々は天皇陛下が乗る御料車のドライバーになるわけではないので、正確さは「おおむね」で大丈夫である。細かすぎることを気にする必要はない。

 これと同様のニュアンスで「お尻から入れる駐車」の特訓を繰り返し、その後は「縦列駐車の猛練習」も行ったら、そろそろ集中力と体力は限界かもしれない。ひと休みしてペットボトルのお茶を飲み、買っておいたコンビニのおにぎりか何かを食べて腹ごしらえをしたら、自宅へ向かおう。

 その日の練習の成果はイマイチだったかもしれないが、気にすることはない。最初は誰もがそんなもんであるし、繰り返し練習すれば、よっぽど鈍くさい人でない限り、必ずある程度は上手くなる。少なくとも「普通ぐらい」には絶対になる。

 帰り道はおおむね午後1時とか、そんなもんであろうか。早朝よりは交通量が増していてプレッシャーを感じるかもしれないが、焦る必要もビビる必要もない。車間距離を普通に取りながらおおむね法定速度ぐらいで慎重に走れば、交通事故というのはそう簡単には発生しないものだ。

 で、いろいろと合流したり合流されたり、交差点での右直事故に注意したりしながら自宅近くにたどり着いたら、その日の特訓の成果を見せるべくしかるべき場所に駐車しよう。その後は風呂に入るなりビールを飲むなり、お好きになさればいい。

 そしてこういった流れの自主練を──おそらくは3回か4回ほども行えば──あなたはもう初心者ではない。いや初心者ではあるのだが、「ドが付く初心者」からは脱却できているに違いないのだ。

 その後は、安全意識を自身に徹底させながら必要に応じて場数を踏んでいけば、気がついたらけっこう上手くなっているはずであり、上手くなっていない場合でも「普通ぐらいのドライバー」にはなっているだろう。

 結局のところ運転初心者が不安を感じ、また実際うまくできないのは「車両感覚を把握すること」と「合流や交通の流れにまつわるエトセトラ」である場合が多い。今回筆者が提唱する「ド田舎の空いてるだだっ広い駐車場まで遠征しての自主練」を行えば、現地での車両感覚把握特訓と、行き帰りの道中における実地訓練により、そのあたりのことが自然と身につく結果になるはずなのだ。

 まぁそのほかにも「ちょっと運転できるようになると調子をこいてカーブ手前での減速が不十分になり、冷や汗をかくか、そのままガードレールに突き刺さって死ぬ」みたいなこともあるわけだが、それはまた別の問題である。

 まずは「車両感覚」と「合流および流れのエトセトラ」を克服すれば、多くのことはなんとかなる。だから、がんばってほしい。いや別にがんばらなくてもいいのだが、とにかく、自分に対しても他者に対しても「無事」であることこそを至上命題とするドライバーに、ぜひなってください。


伊達軍曹 DATE GUNSO

自動車ライター

愛車
スバル・レヴォーグ STI Sport EX
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絵画制作
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町田 康

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