ロータリーエンジンも搭載されたメルセデス「C111」がEVで蘇った! 1920馬力のコンセプトカー「ヴィジョン・ワン・イレブン」 (2/2ページ)

エクステリアデザインも過去と未来を見事に融合している

 デザインの特徴に話を戻そう。メルセデス・ベンツのチーフデザインオフィサー、ゴードン・ワグナー氏は、「このヴィジョン・ワンイレブンは単なるコンセプトカーではなく、未来に向けてのアイコンを作ることにも大きな目的があった」と語る。たとえばC111、あるいはあの300SLに採用されていたガルウイングドアというアイコンなどはその象徴的な例で、現在の「ワン・ボウ」デザインもまた、すでに電気自動車のEQではその滑らかなシルエットはアイコンのひとつになりつつある。

 低く、しかしながら十分な居住スペースを生み出すコンセプト・ワンイレブンのボディシルエット。一見サイドビューが限られるのではと心配するも、じつはこのサイドウインドウは内側からは透明に見える技術を採用したもの。外から見るドットは車内からは透過して見えるのだ。

 メルセデス・ベンツはさらに、ドライバーが運転中にも使用できる180度の視野を確保するARゴーグルも用意しているというのだが、その仮想ビューがどのような印象を与えるものなのかは、現在の段階では予想の域を超えない。

 インテリアトリムやシートはシルバーを基調色としたもので、それにシートベルトなどにはオレンジの差し色が入る。メーターパネルは左右を貫く、赤いLEDのドットマトリクス表示による、ややクラシカルなものだが、これも意図的に採用されたものだろう。ちなみにシートやステアリングホイールは、自動運転時にはその形状が変化し、よりくつろいだポジションが得られるという。

 メルセデス・ベンツには、おそらくこのヴィジョン・ワン・イレブンをそのまま進化させたプロダクション・モデルを発表する計画はないだろう。なぜならそれは、前でも触れたとおり未来に向けてのアイコンを作り出すことに目的があったコンセプトカーであるからだ。つまり、我々にはこれから、このヴィジョン・ワン・イレブンで生まれたアイコンを持つ新型車の誕生を楽しむ。そのような時代が待っているということになるわけだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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