働き手不足を解消しない限り問題解決にはならない
京都市内を走る、市バスがあまりに多くのインバウンドを中心とした観光客の利用もあり大混乱しているというのは報道で知っている人も多いはず。全国的に都市部を中心に状況に差があったとしても、乗務員不足による運行本数の減便傾向が続いており、それに伴い車内が混雑するなかでの運行が目立っている。筆者の生活圏にあるターミナル駅前から成田空港を結ぶ連絡バスは、新型コロナウイルス感染拡大を受け運休となったが、いまでも運休が続いている。運行再開したくても乗務員が確保できないのではないかと言われている。そしてこのような減便傾向はまだまだ続いていくものとされている。過疎地以外では、路線バスでの貨物輸送は路線や、時間帯に結構しばりが出てくるようにも思える。
タクシーでも、新型コロナウイルス感染拡大により乗務員の離職が進んだ。そのなかで、インバウンド需要の復活などもあり、需要はコロナ禍前並みもしくはそれ以上のレベルまで戻ってきているのだが、乗務員不足が続き保有台数の半分も稼働できない事業者も目立っており、ピークタイムを中心に利用したくてもなかなかタクシーに乗れない状況が全国的に発生している。
自治体がタクシーを使って、高齢者世帯に食品や日用品を配送するサービスに使うなどのアイディアが出ているとの報道もあるが、仮に自治体がこのような貨物輸送で複数台数のタクシーを同時間帯で予約してしまえば、病院へ行くためにタクシー会社へお年寄りが電話してタクシーを呼ぼうとしても、稼働台数が少ないので「配車できません」となるケースも考えられる。
つまり、2024年問題自体トラックドライバーが十分確保されていないからこそ、ドライバー個々の負担が増え、時間外労働の上限制限を厳しくすることになったものと考えている。ただ、バスやタクシーといった旅客運送事業だけでなく、日本国内では東証プライムに上場しているような超大企業の本社など一部を除けば、日本全国の職場どこもかしこもが深刻な働き手不足に悩んでいる。
つまり、根本的な日本全国で起こっている働き手不足を解消しない限り、抜本的な問題解決にはならないのである。的が外れた政策しか実行できない今の政権にあって国土交通省の今回の貨客混載の全国拡大は、とくに働き手不足の目立つ貨物や旅客輸送業界への対策としては狙ったとおりの効果は期待薄かもしれないが、できることから行ったといえるものなのかもしれない。