トランスミッションに一癖あることで個性的な乗り味に
3台目は、大人気のイタリア車、フィアット500。キュートなデザインにヒトメボレする人も多く、登場から15年以上が経過しても、いまだに売れ続けているモデルです。3ドアですが後席もちゃんとあり、乗りこんでしまえば大人でも座れるスペース。小さくても走りはシッカリとしているので、ロングドライブが苦にならないところも魅力ではないでしょうか。
でも、よく詳細を知らず、試乗もせずに購入した人がびっくりするのが、2ペダルだけどMT車のような乗り味を再現している、「デュアロジック」というトランスミッション。AT限定免許でも乗れて、ATモードとMTモードが選べるので、まずはATモードにしてアクセルを踏み込むと、ウーンと加速したあとにガックンと大きく失速!? そして再びウーンと加速がはじまるという、独特の加速フィール。これは日本車に多いCVTのような滑らかな加速フィールに慣れた人は、「壊れてる?」と不安になってしまうほど。でもこれはもちろん、こういう特性を持つトランスミッションであって、アクセルを踏んで回転数が上がったところで、一瞬だけアクセルの力を緩め、再び踏み込むという扱い方をしてみると、とても気持ちよく、かつ力強く加速していってくれます。このデュアロジックが登場した当時は、MT比率が高い欧州の人からすると、日本車のCVTのようなスルスルと加速していくほうが、気持ち悪い、ヘン、と感じるのだと、イタリア人の友人が話していました。
4台目は、BMWがいち早く投入した次世代モビリティのひとつ、BMW i3。量産車初のCFRP採用や、内装に植物由来の素材を使うなど未来感たっぷりのクルマとなっています。4人乗りで、両サイドのドアは観音開き。電気モーターのみのピュアEVと、発電用の小型エンジンを積むレンジエクステンダーの2タイプがあり、急速充電にも対応しています。
ところがクセ強っ、となるのが独特のワンペダル走行。力強く飛び出すような鋭い加速で、アクセルペダルを緩めると強い減速Gが発生するので、最初は停止線のかなり手前で止まってしまったり、ちょっと緩めたつもりが失速してしまう人も多かったものでした。ただ、最小回転半径が軽自動車並みのため、街中での扱いやすさは抜群で、かと思えばかなりスポーティなハンドリングで山道を駆け抜けられるのも楽しい1台です。
ということで、いろんなところにクセ強めなポイントがあるクルマたち。でもどれも、多くのファンを持つクルマでもあるので、クセというのは個性でもあり、味でもあり、何にもないクルマより記憶に残るのかもしれないですね。