これってドローンじゃん! 「空飛ぶクルマ」がまったくクルマっぽくないワケ (2/2ページ)

垂直離陸をするヘリコプターのようなモデルが主流に

 海外においても「フライング・カー」といった俗称が使われることがある。

 筆者は、1980年代から欧米で「フライング・カー」や、「空飛ぶ円盤」のような飛行体の実用化を目指すさまざまなベンチャー企業を現地で取材してきた。

 そうしたなかで、もっとも早く実用化できそうだったのが、小型飛行機型の空飛ぶクルマだった。基本的な構造は小型飛行機そのものといってよい構造で、主翼が大きく畳めることで自動車のように公道を走行する、という触れ込みだった。

 自宅のガレージから自走して近くの飛行場まで行って、滑走路から飛び立つという流れを想定していた。だが、クルマっぽく走るということに対して、法的なハードルなどがあったようで、本格的な量産化には至らなかったという経緯がある。

 それ以外の空飛ぶクルマは、ヘリコプターのような考え方を持つVTOL(垂直・離着陸機:ブイトール)で、そこに軍用機で量産されているようなプロペラの角度を可変させることで、水平飛行が可能になるタイプが主流になっていった。

 また、プロペラを動かすための動力源としては内燃機関(エンジン)ではなくモーターを使う発想が広がった。これを、e-VTOL(イー・ブイトール)と呼ぶ。ただし、電池のエネルギー密度が低いため、たとえばホンダの事例のようにタービンなどの外燃機関を使うシリーズハイブリッドを考案するケースがある。

 国が言うように、空飛ぶクルマが速くて安くて便利な”庶民の乗り物”になるのはいったいいつになるのだろうか?

 現時点(2023年6月)では、空飛ぶクルマの本格普及をはっきりとイメージすることは難しいように感じている人が、少なくないのではないだろうか。


桃田健史 MOMOTA KENJI

-

愛車
トヨタ・ハイエースキャンパーアルトピア―ノ等
趣味
動物たちとのふれあい
好きな有名人
聖徳太子(多くの人の声を同時にしっかり聞くという伝説があるので)

新着情報