クルマ好きが語る「走りが楽しい」ってどういうこと? 「速さ」とは関係ない5つの要素を考えてみた (2/2ページ)

思いのままに動くクルマは最高!

 3つ目は、カーブに進入してから脱出するまでが一筆書きのように、思ったとおりの弧を描いて走り抜けることができたとき。これは楽しいと感じる人が多いポイントではないでしょうか。カーブに進入するには、まず速度を落としながらクルマの姿勢を変える必要があります。それがなんらかの原因でうまくいかないクルマは、速度が落ちすぎて失速してしまったり、車体が大きく傾いたり、アンダーステアやオーバーステアといって、カーブのラインよりも外側にはみ出してしまう、内側に引っ張られてしまう、といった状態になり、とても気持ちのいいコーナリングとは言えません。

 そのヒヤっとするスリルを楽しむ人もなかにはいますが、多くの人は、適度なブレーキングで姿勢を変えながら、一定の傾きを保った状態でカーブの出口に向かい、姿勢が元に戻って再度加速をはじめて抜けていくという挙動のほうが、楽しいと感じると思います。

 4つ目は、何度もゾクゾクするような力強い加速感が味わえること。これはなにも速度が高いところでの話ではなく、たとえば赤信号が青に変わった瞬間から、制限速度に達するまでのほんの数秒の加速でもいいのです。ジェットコースターで体感できる最大Gよりは小さいですが、パワフルなスーパーカーなら0-100km/h加速で1G程度は体感できると言われていますので、これが楽しいと感じるのも納得ですね。

 5つ目は、速度とも少し関係はありますが、エンジンサウンドです。でも、めいっぱいアクセルを踏まずとも、いい音を聴かせてくれるエンジンもありますし、最近ではサウンドチューニングといって、GR86に採用されている「サウンドクリエーター」のように、実際のエンジンサウンドを強調して車室内に届けてくれるクルマも増えつつあります。

 一般的にエンジンサウンドは自然吸気エンジンのほうがダイレクトで官能的と言われ、ターボなどの過給器を使うと力強かったり、刺激的な音になると言われています。メルセデスAMGモデルのように、エンジンをスタートした瞬間にブォンと雄叫びをあげるモデルもあり、それだけでテンションが上がって楽しく感じる人もいます。

 また、シフトダウンをしたときにフォンフォンと心地よい音がするブリッピング音、減速時のバブリング音に気持ちよさを感じて、その音だけでも楽しいと感じる人もいます。これなら街なかを走っているときでも何度も楽しめますね。

 ということで、遅くても一般道でも走って楽しい要素を考えてみました。速度違反をしなくても、乗るたびに楽しめるクルマと出会いたいものですね。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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