この記事をまとめると
■よく耳にする「走りが楽しい」と言われるクルマの特徴を考える
■意のままに吹けるエンジンや思いどおりのラインで走れるという性能は欠かせない
■耳から入ってくるマフラーサウンドも楽しいクルマに欠かせない要素だ
「走りが楽しいクルマ」ってそもそもなに?
クルマの性能を表すときに、よく耳にするのが「走りが楽しい」という言葉。でもこれってよく考えたら、ものすごく抽象的ですよね。運転が楽しいのか、移動すること自体が楽しいのか、はたまた別の何かなのでしょうか。しかも、その楽しさは速いからといって得られるものではなく、遅くても楽しいクルマもあるというのがまた、ややこしいところ。
そこで今回は、速さ以外に「楽しい」と感じる要素とはどんなものがあるのか、考えてみたいと思います。
まずひとつ目は、やはりアクセルペダルを踏んだときに、イメージしたとおりに加速していける楽しさでしょう。ドライバーはアクセルペダルに足をのせ、ほんの数ミリ程度、踏み込んだときの感覚で、瞬時に「このくらいの加速感だろう」というイメージを持ちます。でも実際には加速が始まるまでに一拍遅れたり、途中で引っ掛かりがあったりと、なかなかイメージ通りにはいかないものです。1回目からイメージとドンピシャの加速をしてくれるクルマは、かなり相性が抜群なのだと思っていいと思います。
そこでドライバーは、どうやったらイメージどおりに加速してくれるだろうと、足先の力の入れ方を加減して、ジャストミートするところを探っていきます。少し走ってイメージどおりになれば、そのクルマもドライバーにとって楽しいクルマとなるはず。でも、どうやっても息があわないクルマというのもたまにあるもので、そうなると楽しさを感じるのはなかなか難しいかもしれません。
ふたつ目は、思いどおりのハンドル操作ができること。これも走って楽しいクルマが持つ魅力のひとつです。開発段階で、そのクルマが目指す走りやユーザーのターゲット、パワートレインとの相性などによって、ハンドル操作のチューニングは細かく調整して煮詰められていきます。また、ハンドルそのものが小径か大径か、真円か船底型か、といった要素によって変わることもあるでしょう。
一般的に、大径のハンドルは比較的軽い力で操作できるものの、まわす角度が大きくなるので、あまりキビキビとした操作には向きません。小径のほうがスポーティな操作感にはなりますが、小さすぎると力が必要になったり、反応が良すぎてシビアになるので気が抜けない操作感になるでしょう。操舵力や保舵力にも好みがあるので、思いどおりにタイヤに力が伝わり、気持ちよくクルマが動いてくれたとき、なんともいえない楽しさを感じるものなのです。