この記事をまとめると
■スーパー耐久「ST-Q」クラスにHRCが参戦
■シビックタイプRにバイオ燃料を搭載して戦う
■レースで得たノウハウを元にパーツや車両の展開をしていきたいと語った
開発競争が激化するスーパー耐久
年々盛り上がりを見せているスーパー耐久。とくに、富士スピードウェイで開催される24時間耐久レースはシリーズのなかでもっとも盛り上がるイベントとして、モータースポーツファン以外からも人気が高い。
それはなぜか。じつは「耐久レース」という独特なカテゴリーが関係している。
富士で行われる24時間レース期間中は、指定されたエリア内でブームとなっているキャンプをしながらレース観戦ができるというのが大きなトピックだ。スーパーGTでも同じように指定エリアでキャンプをすることはできるが、夜間はクルマが走っていない。一方、スーパー耐久は、24時間常にクルマが走っている。クルマ好きからすればレース期間中はずっとクルマを見ていられるのだ。
また、イベント広場などではエントラントによるさまざまな展示や企画が行われているほか、ナイトセッションでは花火の打ち上げもしている。富士スピードウェイ内にはほかにも、歴史的名車を展示したミュージアムやトヨタROOKIE Racingの一般見学可能なガレージも先日オープンしたばかり。子どもから大人まで楽しめるレースなのだ。
そしてこの24時間耐久レースが毎年これほど盛り上がっているのは、”24時間”という国内レースでもっとも過酷な環境で生まれるドラマがあるからこそ、より多くの人を惹きつけているのではないだろうか。
ちなみにこの24時間耐久レースは、2008年まで北海道の十勝サーキットで行われており、ここでも同じくキャンプをして観戦もできたのだが、立地などもあってなかなか全国から集結するのは難しかった。それが、2018年より富士スピードウェイで50年ぶり復活したという歴史もある。
なお、このスーパー耐久は2020年から大きく雰囲気が変わり、より多くの人が注目するようになった。それがトヨタの参戦だ。それもただの参戦ではなく、いまではすっかりお馴染みとなった「水素エンジン」を使ったレースへの参戦だ。WEB CARTOPでも多くの記事が投稿されているので、このクルマに関する詳細は割愛するが、これは「既存のエンジンの一部パーツを入れ替え、燃料の代わりに水素を使うことによってカーボンニュートラルを実現しつつも内燃機関を残す」という夢のような技術でレースを戦うということ。これは、TVCMなどでも放映されているので、クルマにそこまで興味がない人でも知っている人が多いのではないだろうか。
スーパー耐久がこれほどまでに盛り上がる起爆剤になったのはこの発表からだったと、筆者は記憶している。また、同じ時期にマツダはディーゼルエンジンにバイオ燃料を使って参戦する発表もしており、まさにスーパー耐久史上における革命期であった。これらの参戦は、あくまでレースを走り切るという目的で、勝ち負けにこだわらないジャンルでもあったので、「ST-Q」クラスという新しいカテゴリーが誕生したキッカケでもあった。
そんな「ST-Q」クラスに先日の24時間レースから新たな刺客が登場した。