この記事をまとめると
■世界の数あるロングセラーモデルのなかから山崎元裕さんがお気に入りをセレクト
■ポルシェ911はどの世代のモデルを選んでも一生遊ぶことができる
■シボレー・コルベットもC1からC8まですべての世代で魅力的なスタイリングをしている
多くの人に愛されるゆえのロングセラー
どんな世界にも、ロングセラーモデルというものは存在する。それはもちろん自動車においても例外ではなく、同じ車名を継承していくことがロングセラーの条件であるとするならば、途中でボディスタイルやセグメントが変化しても、それは一応ロングセラー商品として認めると、まずここでは考えてみることにする。
そんな条件で編集部が比較的ポピュラーな例として提案してきたのが、VWゴルフ、メルセデス・ベンツSLクラス、ポルシェ911、シボレー・コルベット。
4車のデビュー年を調べると、ゴルフは1974年。SLは1952年、911は1964年、そしてコルベットは1953年だからすでにその誕生から半世紀を超えたモデルも多々ある。今回は登場しないが、1955年から16世代にわたって進化を続けたトヨタのクラウンや、同様に1957年から現在まで13世代を数える日産の(生産開始当時は富士精密工業、後のプリンス自動車の生産によるモデルだった)など、ロングセラーモデルには、やはりそれを可能とする人気の理由があることに気づく。
そのなかでも個人的に選ぶとしたら、はたして自分の選択はどのような結果になるだろうか。答えはやはりポルシェ911、僅差でシボレー・コルベットといったところだ。
もっとも初期型の901シリーズから、930型を経て964型あたりまでは、すでにポルシェのカスタマーやファンの間からはクラシックとしての価値も語られる時代になった。
続く993型は最後の空冷エンジンを搭載するモデルであるし、996型以降、997型、991型、992型と現代に続くにつれ、確実に技術的な、そして走りの進化が感じられるのは嬉しい。そしてこれらもまたいつか、クラシックの仲間入りを果たし、その走りを楽しむさまざまなイベントも用意されるのは確かだろう。
最初の一台を買うのは大変かもしれないが、ポルシェ911は一度それを手に入れれば、その一台で一生遊ぶことができる。そして、日常生活の足としても優秀な機能性を持つモデルなのだ。ポルシェ911のコンセプトはあくまでもGT(グランツーリング)。一部のハードコアなモデルを除けば、長距離のドライブも辛くはない。
半世紀にわたって受け継がれたメカニズムの基本設計は、これからも変わることはないだろう。ポルシェ911はポルシェ911であり、それ以外のものではないのだ。
僅差でポルシェ911にかなわなかったシボレー・コルベットも、それぞれの世代で大胆でかつ魅力的なボディデザインを提供してくれた。コンパクトで高性能なOHVエンジンを搭載するからこそ可能となった、低く滑らかなエンジンフードは、セカンドジェネレーションのコルベット以降の伝統ともいえる造形。
トルクフルな大排気量V型8気筒エンジンによるダイナミックな走りは、どの世代でも多くのファンを刺激して止まなかった。
911かコルベットか、その選択は本当に難しい。