新型アルファード&ヴェルファイアの「闘牛デザイン」は成功か? デザインのプロが分析する! (2/2ページ)

エクステリアには見どころ満載!

ボディに大きな2つの流れと動きを作る

 2つ目は「躍動感」です。新型は「平板になりがちなボディサイドに抑揚を持たせた」ことを特徴に掲げていますが、じつは先代でも抑揚は意識されていて、フロントフェンダーからリヤに向けてなだらかに下る大きな流れが見所でした。

 そこで、新型ではより強い躍動感を目指し、フロントランプからフェンダーへ流れる張り出しに加え、センターピラーを起点としてリヤパネルまで流れるもう1本のラインを設け、ボディサイドに相似形の大きな面を作り出しました。

 とくにセンターピラーからの流れは、サイドウインドウの下部に大きく干渉するというヤンチャぶりで、ここにもヒット商品としての余裕が感じられます。まあ、ピラー上の尖ったメッキ部分は少々やりすぎ? なんて思えますが……。

巨大なボディをひとカタマリに見せたい

 3つ目は「カタマリ感」。たとえば、先のサイド面の2つの張り出しは高い凝縮感を生み、これがボディ全体のカタマリ感につながっています。その点、先代のフロントフェンダーはカタマリを感じさせるには少々弱かったようです。

 また、フロントは相変わらず巨大なグリルで構成されていますが、前へ突き出すと同時に、先代に比べてボディとの面一化が図られています。つまり、グリルだけを突出させるのではなく、あくまでもボディの一部として表現する意図が感じられるのです。

 さらに、先代では大きなS字を描いていたリヤランプが、ガーニッシュとともにリヤガラスと一体的な表情になりました。リヤパネルを上下に二分する手法はすでにノアやヴォクシーなどで実践済みですが、ボディのカタマリ感を強める手法として新型でも採用されたワケです。

 さて、6月21日に行われた発表会で、トヨタデザインを統括するサイモン・ハンフリーズ氏は、新型を「単なる箱にしたくなかった」と語っていました。ミニバンのデザインでは決して珍しい発言ではありませんが、新型はLクラスのボディでそれを模索した点がユニークです。

 ユーザーが新型を見て、もし「デカい割には意外とスッキリしてるな」と思えたのであれば、その取り組みは成功したと言えるのかもしれません。


すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

愛車
いすゞFFジェミニ4ドア・イルムシャー(1986年式)
趣味
オヤジバンド(ドラムやってます)/音楽鑑賞(ジャズ・フュージョンなど) /カフェ巡り/ドライブ
好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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