エンジン車は未来永劫消えないと考えることもできる
現時点で、日本政府の目標は2050年のカーボンニュートラル実現となっている。そのゴールと乗用車の平均的な耐用年数から逆算すると、やはり2035年あたりには純エンジン車は新車ラインアップからは消えてしまうであろうと予想される。
ただし、それはエンジンを搭載したクルマがなくなってしまうという意味ではない。
たとえばカメラの変遷を思い出してほしい。店頭での主役がフィルムカメラからデジタルカメラに変わったのは、ここ20年内の話だが、いまやすっかりデジタル一色となっている。さらにいえば、デジタル一眼からミラーレスへとハードウェアの主流は変化している。しかし、それでもフィルムを手に入れることはできるし、新品で購入できるフィルムカメラも残っている。
非常に高価な人工燃料を使うことができる富裕層向けのエンジン車が残る可能性はゼロではない。環境対応が厳しくなっても、規制を免除されるような規模の小さい企業がごくごく少数のエンジン車を作ることはあり得る話だ。
また、航空機や船舶は電動化が難しいとされている。とくに軍用においては人工燃料を使った地上兵器も残ることが考えられる。そうなると、エンジン自体の生産は細々であっても続いていく可能性があるかもしれない。
つまり、世界的にカーボンニュートラルを実現したとしても、エンジン車が残っていく可能性はゼロとはいえない。ただし、そうした時代において一般ユーザーが気軽にエンジン車を買える状況にあるとは考えづらい。
もし、あなたが純エンジン車に乗っておきたいと思うのであれば、ローンを組んででもいますぐにエンジン車を手に入れて、その鼓動や匂いを満喫しておくべきだ。
「お金を溜めて、いつか買おう」というのは生活設計としては正しいが、純エンジン車の新車ラインアップやガソリンスタンドなど燃料インフラがシュリンクするであろうことを考えると、可能な限りはやく純エンジン車を手に入れることが、エンジン車を楽しむ期間を最大限に伸ばすことになるだろうからだ。